システム開発契約における「知的財産権紛争の処理」規定

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 本ページでは、システム開発契約における主要な条項の一つである「知的財産権紛争の処理」についてご説明します。

 なお、システム開発契約の主要条項の一覧はこちらをご覧ください。

「知的財産権紛争の処理」に関する規定例

 
 以下は「知的財産権紛争の処理」に関する比較的シンプルな条項の例です。

第*条(知的財産権侵害への対応)
1 乙は甲に対し、委託業務に基づく本成果物が、納品時において、日本国内において成立している第三者の著作権、著作者人格権、特許権、実用新案権、意匠権、ノウハウ、営業秘密又は他の知的財産権(以下これらをあわせ「知的財産権」という。)を侵害していないことを保証する。
2 前項に反し、本成果物が第三者の知的財産権を侵害した場合、乙は、第*条に定める委託料総額を限度として、当該侵害によって甲が受けた損害を賠償するものとする。
3 前二項の規定は、本成果物の知的財産権侵害が、甲が指定又は提供した仕様、データ、又は素材によって生じた場合については適用しない。

契約規定のポイント

ポイント1~保証内容と範囲

 まず、成果物に関する知的財産権侵害の保証の有無、内容と範囲を明確にすることは重要です。ベンダ(受注者)としては保証責任を負わないのがベストでしょうが、ユーザ(発注者)がこうした保証を求めるのはある意味自然ともいえます。

 それで、上のサンプルでは、「納品時」「日本国内において成立」という限定を加える例を挙げています。他方、こうした限定を加えない保証規定を定める例もあります。

 また、他の例としては、保証期間を一定期間に制限する例、非侵害という結果を保証するのではなく、侵害の有無について合理的な調査をした旨を保証する例、などもあります。

ポイント2~保証違反の場合の責任

 また、保証違反が生じた場合の責任について規定する例は少なくありません。

 上のサンプルでは、ベンダ(受注者)寄りの規定として、侵害の結果が生じた場合に、かつ委託料を上限として補償する規定としています。

 しかしながら、ユーザ(発注者)としては、補償の上限を定めることは望まないことが多く、上限を定めない例も多く見られます。

 また上のサンプルのように、侵害の結果が生じた場合のみならず、侵害を理由とした紛争が生じた場合の対応費用(弁護士費用を含む)の補償を定めるケースもあります。

 また、補償責任を負うベンダとしては、侵害を争う機会を確保したいと考えることも多いため、補償の前提として、侵害の主張があった場合のユーザ(発注者)の通知義務、ベンダに対して紛争解決の権限を付与すること、ユーザ(発注者)が解決する前にはベンダの同意を得ることなどの規定を置くことを検討する場合があります。

ポイント3~保証責任の例外

 ベンダとしては、ユーザ(発注者)が定めた仕様や素材に基づき開発する場合などは、保証責任を負えないと考えるのは当然といえます。

 それで、ケースに即して、保証責任の例外規定を含めることは重要といえます。

 


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