成果物の納品・検査

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 システム開発契約の主要な条項の一つは、「納品物の納入」と「納品物の検査」に関する条項です。本ページでは、これら条項についてご説明します。

 なお、システム開発委託契約の主要な条項の一覧は、こちらからご覧になれます。

「成果物の納品・検査」に関する規定例

 
 以下は「納品物の納入」と「納品物の検査」に関する比較的シンプルな条項の例です。

第*条(成果物の納入)
 乙は、個別契約において定めた期限までに、個別契約に定める成果物(以下「本成果物」という)を、個別契約において定められた方法により納入する。ただし、天災地変その他不可抗力によって当該期限までの納入が困難になった場合、乙は、甲に対し、納期の延長を求めることができる。

第*条(検査)
1 甲は、本成果物の納入後●日以内に、甲乙の協議によって定める検査仕様書に基づき検査し本成果物の検査を行い、検査結果について乙に書面で通知するものとする。
2 前項の期間内に甲が乙に具体的な理由を付した検査不合格の通知をなさない場合、本成果物については、検査に合格したものとみなす。

成果物の納品(納入)規定のポイント

ポイント1~納入期限の明示

 まず、納入期限を明示することは発注者(ユーザ)側にとっても、受注者(ベンダ)側にとっても重要です。基本契約と個別契約とで契約を分ける場合、個別契約に定めることが多いといえます。あるいは、注文書と請書などで定めても差し支えありません。

ポイント2~納入物の明示

 個別契約、仕様書、見積書、発注者等何らかのドキュメントにおいて、納品物を明示することは重要といえます。納品物に含まれ得るものには、以下のものがあります。

  • システム基本設計書
  • システム詳細設計書
  • テスト仕様書
  • テスト結果報告書
  • ソースプログラム
  • 実行ファイル一式
  • 運用マニュアル・使用説明書

ポイント3~納入方法の明示

 個別契約、仕様書、見積書、発注者等何らかのドキュメントにおいて、成果物の納入方法についてもできる限り具体的に記載することも重要です。納入方法についての認識の相違は、トラブルの原因となりやすいものの一つです。

 CDやDVDなどの固定媒体を納入する、ユーザー指定のサーバにデータをアップロードさせる、クラウド上のストレージに納品する、ユーザが管理するサーバや端末にインストールする等、種々のパターンが考えられます。

成果物の検査規定のポイント

ポイント1~検査期間の明示

 検査期間を明示することは発注者(ユーザ)側にとっても、受注者(ベンダ)側にとっても重要です。ある基本契約に基づく複数の開発案件が同種のものである場合、検査期間を基本契約で定めることもできます。他方、案件ごとの成果物の性質や規模に応じて、個別契約に定めることも少なくありません。

 特に、検査期間の定めがないと、発注者(ユーザ)側が検査をずるずると先延ばししても受注者(ベンダ)側は文句が言えなくなるおそれがありますから、この点でも検査期間の定めは重要と思われます。

ポイント2~検査仕様・基準の明示

 検査仕様・検査基準を定めておく必要があります。この点、検査仕様書において、システム仕様書に基づき、仕様書、テスト項目、テストデータ、テスト方法を定めることが実務上多く行われています。

 この点、検査・検収は発注者(ユーザ)側の業務であるため、検査仕様書の作成は、原則として、本来は発注者(ユーザ)側の責務とされることが多いと考えられますが、検査仕様書の策定には実際に開発業務を行ったベンダ(受注者)の積極的関与が不可欠な場合が多いこと、ユーザ側が一方的に検査仕様を定めることがベンダ側に不利益となりうることから、検査仕様書の作成や確定においては、両者協議によって行うとされることは実務上珍しくありません。

ポイント3~検査期間満了時の取扱

 検査期間満了時に発注者(ユーザ)から通知がない場合の取扱を定めておくことも検討できます。

 上のサンプルでは、通知がない場合に検査合格とみなす旨の規定としています。

 

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