株主総会招集決定の諸問題

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株主総会招集の決定権限

取締役会設置会社の場合

 株主総会の開催にあたっては、まずは会社法に沿って招集の決定がなされる必要があります。

 まず、取締役会設置会社の場合には、取締役会を開き、株主総会の招集を決定します(会社法298条4項)。実際の招集は代表取締役が行います。

取締役会非設置会社の場合

 他方、会社が取締役非設置会社の場合には、取締役が株主総会を招集できます(会社法296条3項)。なお、取締役が複数いる場合、多数決で招集を決定することとなり(会社法348条2項)、各取締役に決定を委ねることはできません(会社法348条3項3号)。

株主総会招集に当たり決定すべき事項

決定事項の概要

 株主総会招集の決定にあたっては、以下の事項を決定します。

  • 株主総会の日時及び場所
  • 株主総会の目的である事項
  • 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
  • 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
  • その他法務省令で定める事項

 以下、各事項についてご説明します。

株主総会開催日時

定時株主総会

 定時株主総会の開催日時については、実務上は、事業年度終了後2ヶ月以内又は3ヶ月以内に開催することが多いといえます。

 この点、会社法296条1項では、「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。」と定められていますが、具体的な時期は明示されていません。

 しかし、法人税の確定申告時期は、延長が認められた場合を除き、事業年度の終了日の翌日から2ヶ月以内が原則となっています(法人税法第74条[カーソルを載せて条文表示])。

 そして、申告については、「確定した決算に基づき」すべきところ、これは「定時株主総会において承認を受けた計算書類を基礎として」という意味であると解されています。

 よって、この原則に照らせば、定時株主総会の開催時期は、事業年度終了後2ヶ月以内ということになります。

 他方、株主名簿の基準日の関係で、株主が行使できる権利は基準日から3ヶ月以内に行使するものに限られている(会社法124条2項)ところ、多くの定款においては事業年度末日を基準日としています。その関係でいうと、定時株主総会について、基準日(つまり決算期)から3か月以内に開催すべき、ということにもなります。

臨時株主総会

 臨時株主総会は、いつでも開催できます。

株主総会開催場所

 株主総会の開催場所については、旧商法第233条の規定では、本店(本社)の所在する市区町村か、隣接する市区町村に限られていました。他方会社法においてはどこでも開催可能になりました(298条1項1号)。

 しかし、株主総会の開催場所があまりに遠方の場合、理由説明を要する場合があります(会社法施行規則63条)。

 また、一部の役員、株主がいわゆるテレビ会議システムなどによって株主総会に出席することも可能と解されています(会社法施行規則72条3項1号)。

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