会社設立の法律

ご注意:以下の内容は,旧商法によるものであり,新会社法の施行により,変更されているものもあります。なお,新会社法に基づく会社役員を巡る解説は,ここをクリックしてください。

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会社設立のメリット

  会社を設立すると,どんな利点があるでしょうか。

財産と責任を,個人と事業の間で分離  個人事業の場合は,各債権者は,個人事業主のすべての財産に対し債権の回収を実行することが可能です。つまり,個人事業主は事業の債務のため,すべての財産を失う可能性があります。
しかし,株式会社や有限会社の場合,ただし,個人として会社の保証人にならない限り,出資者は自分の出資した金額の範囲でしか責任をとる必要がありません。

信用の違い 会社を設立するためには,株式会社では1000万円以上,有限会社では300万円以上の資本金が必要となりますが,それゆえに,株式会社又は有限会社として取引することにより,取引先から,又は社会からの信用が得られやすくなります。
また,会社の概要は登記されますので,誰でも自由にその登記の内容を見ることができ,その点でも,信用が得られやすくなります。

事業の長期的継続 その他、個人事業では,事業主が亡くなった場合,財産の承継,許認可のやり直しなど困難な問題が生じる可能性がありますが,会社の場合,そのような可能性はありません。

節税 場合によっては節税となることもあります。


会社設立の費用

株式会社の場合

(1)定款認証費用(公証人に支払う)

  収入印紙代     4万円
  定款認証手数料  5万円
  謄本手数料     1枚250円×枚数(定款が4枚であれば1,000円になります。)

(2)出資金払込み委託手数料(金融機関に支払う)

一般的には出資金の0.25%程度ですが,金融機関よって違いがあります。
出資金が1,000万円であれば2万5,000円になります。
ただし,銀行によっては最低金額があり,これより高くなる場合もあります。

(3)登録免許税(法務局に支払う)

出資金1,000万円の場合  15万円
(出資金の0.7%。ただし,最低額は株式会社の場合だと15万円)
(4)総費用は26万円強程度
になります。ただし,以上は実費のみであり,専門家に依頼した場合の報酬は含まれていません。


有限会社の場合

(1)定款認証費用(公証人に支払う)

  収入印紙代     4万円
  定款認証手数料  5万円
  謄本手数料     1枚250円×枚数(定款が4枚であれば1,000円になります。)

(2)出資金払込み委託手数料(金融機関に支払う)

一般的には出資金の0.25%程度ですが,金融機関よって違いがあります。
出資金が最低の300万円であれば7,500円になります。
ただし,銀行によっては最低金額があり,これより高くなる場合もあります。

(3)登録免許税(法務局に支払う)

出資金300万円の場合  6万円
(出資金の0.7%。ただし,最低額は有限会社の場合だと6万円)
(4)総費用は16万円程度になります。ただし,以上は実費のみであり,専門家に依頼した場合の報酬は含まれていません。


株式会社設立の手順

  株式会社は,おおまかには次の手順で設立します。なお,以下は,発起人が出資のすべてを引き受ける「発起設立」に関する説明です。

事業目的の決定  会社の事業目的は,定款に記載することになりますが,どんな表現でも許されるものではなく,ある程度記載の仕方が決められており,非常に重要な決定事項です。 なお,事業目的の選定の際の注意事項は,ここをクリックしてください。


商号の決定と類似商号の調査  会社を設立するに当たり,商号を決めなければなりません。しかし,会社の本店を置く予定の市区町村内に,類似の業種で,同じ商号又は類似の商号の会社がある場合は,その商号を使用しての会社を設立することができません。

それで,あらかじめ,法務局で,類似の商号がないかどうか調査する必要があります。調査方法は,ここをクリックしてください。

それで,会社の商号を決める場合は,1つだけでなく,複数の候補を考えておくのがよいでしょう。なお,商号の選定の際の注意事項は,ここをクリックしてください。


定款の作成と認証 まず,会社を設立しようとする人たちが発起人となり,会社の基本的事項を決定して定款を作成し,これに署名押印します。発起人は,少なくとも一株は株式を引き受けます。

会社の商号・営業目的・本店所在地を決め,定款に記載します。

作成した定款は、本店所在地を管轄する法務局の管内にある公証役場で公証人の認証を受けます。

なお,定款の作成と認証についての説明は,ここをクリックしてください。


株主となる者の出資金払込み 株主として出資金を払い込みます。これは,自分の引き受けた株式の金額を,指定された銀行に払い込みます。この払込金が会社の資本金となります。

なお,出資払込みに関する説明は,ここをクリックしてください。


役員の選任 役員は,発起人が選出します。株式会社においては,取締役は3人以上でなければならず,監査役をも選任しなければなりません。

発起設立の場合は,定款に取締役と監査役の名前を記入することによって選任することができます。

発起人が1人で,かつ定款において役員を選出しなかった場合,株式の払込後,「取締役・監査役選任決定書」を作成し,取締役・監査役を選任します。

発起人が2名以上おり,定款で役員を選出しなかった場合,発起人会を開催し発起人の過半数の議決権をもって取締役・監査役を決定します。「発起人会議議事録」を作成し,各発起人が記名・捺印すます。


代表取締役の選任と出資の調査 取締役に就任した者が,取締役会を開き,代表取締役を選任します。

また,会社の設立手続きが正しく行われたか,出資が適正かどうかを調査し,調査書にまとめます。調査書に関しては,ここをクリックしてください。 取締役会議事録に関しては,ここをクリックしてください

設立登記 本店所在地の法務局に,会社設立の登記申請をし,この設立登記が完了すると,新会社が誕生します。 以上は,弁護士または司法書士に依頼することもできますし,ご自身で手続きすることも可能です。


有限会社設立の手順

有限会社は,おおまかには,株式会社と同様の手順で設立します。

 ただし,違う点は,取締役が1名で足りる点,監査役の選任が不要な点,出資の払込み前に新会社の取締役を定款で決めることができる点,定款で決めなかったときは社員総会を開催して取締役を選任する点です。

取締役になれる人となれない人 なお,この項目については,ここをクリックして詳細をご覧ください。

取締役の欠格事由 商法254条の2は,次の4つの場合(取締役の欠格事由),取締役になれないとされています。

上記のうち,よく問題となる破産者について説明します。まず,いったん破産者となると永久に取締役になれないわけではありません。原則として,破産宣告の時点から,免責の決定が確定するまでの間,取締役になれないだけですので,免責決定の確定後は取締役になることができます。

事業目的選定の注意点
一般的な目安 これは,最終的には登記官の個別的判断に委ねられています。しかし,以下のような点に注意します。

 (1)目的の内容が具体的である
具体的でない内容は会社の目的とすることができません。例:工業,商業など
例えば「化粧品の販売」「コンピューターのソフトウェアの開発及び販売」など事業目的を客観的に確定できる程度に具体的でなければなりません。
 (2)目的の内容が明確である
一般の人が見て,意味を理解できるものである必要があります。
 (3)目的に内容に違法性がない

法律に違反するような内容は会社の目的とすることができません。例えば「あへんの輸入・販売」などを目的とした会社の設立はできません。
その他 事業目体が的確かどうかにつき,事前に登記官に相談することができますので,登記官に確認するか,または,すでに登記された先例から選ぶのが安全な方法です。

また,事業目的の数に制限はなく,登記したからといってすぐに事業目的に記載した事業を営まなければならないわけではないので,将来やりたいと考えているものも含めて記載するのがよいでしょう。
 
類似商号調査の方法

どこで行うか 本店を置こうとする市町村(区)を管轄する登記所(法務局)に出向き,商号調査簿を閲覧します。なお,この閲覧の費用は無料です。

調査の方法 法務局にある,商号調査簿閲覧申請書を記入し提出します。商号調査簿にファイルされている登記簿の商号をチェックします。多くの場合,アイウエオ順にファイルされていますので,自分が予定している会社名と同じ頭文字のファイルから類似の商号がないかを確認していきます。ただし,見た目で文字が類似していると類似商号と判断される可能性もありますので,類似する他の漢字にも注意する必要があります。また,地域名や規模を表す言葉だけが異なるものも類似とされます(株式会社メリーと株式会社横浜メリー)。そのため,「日本」「東京」「大」などの冠が付いた会社の分だけをまとめたファイルが用意されていることが通常ですので,これも確認する必要があります。

同一又は類似の商号があった場合,事業目的を確認します。事業目的が明らかに異なれば,類似商号とはなりません。ただし,事業目的の1つでも重なっていてはなりません。

類似判断の方法  以下のような点に注意する必要があります

判断基準
発音の類似株式会社山田 と 株式会社YAMATA
文字の類似株式会社太田 と 株式会社大田 
地域だけが違う場合有限会社ゴールド と 有限会社東京ゴールド


その他 類似商号の調査をする場合は,登記官の内諾を得ておくとスムーズでしょう。

商号選定の際の注意事項

会社の商号の中に「有限会社」「株式会社」の文字を使用する
有限会社であれば,「有限会社××」「××有限会社」
株式会社であれば,「株式会社××」「××株式会社」
会社の商号に記号などを使用することはできない
ただし,「・」は使用できる。
社会的によく認知されている名称を用いることはできない
東芝,三菱などの社会的に認知されている名称を用いることはできません。
シャネルなどの海外の著名な名称やブランド名も拒絶される可能性が高いといえます。
銀行,信託,証券などの文字の使用はできない
銀行業,証券業,信託業などを営む場合でなければ,これらの文字を使用することはできません。

定款の作成と認証

定款とは 定款は,会社の組織や運営に関する基本的なルールを定めたもので,会社を拘束する法的な効果を持ちます。

誰が,どのように作成するか 有限会社であれば社員全員で,株式会社であれば発起人全員で作成し,全員が署名押印する必要があります。同じ書面を3通(法務局提出用,会社保存用原本,公証役場保管用)を作成します。作成後,公証人役場で定款の認証を受ける必要があります。認証を受けた時点で,法的な効力を持つ定款が完成します。

定款に何を記載するか 大きく分けると,定款に記載する内容には以下の3つがあります。具体的には,各記載事項の解説をご覧ください。

(1)絶対的記載事項
必ず記載しなければならず,記載がないと,その定款全体が無効になってしまう事項です。これは,必ず定款の中に記載する必要があります。例としては,商号,本店所在地,会社の目的(以上は株式会社有限会社共通),発行株式総数,設立時の株式総数,発起人の住所氏名等(以上は株式会社),資本の総額,出資一口の金額,社員の氏名住所,各社員の出資口数など(以上は有限会社)などがあります。

   (2)相対的記載事項
定款に記載しなくともよいが,記載しない場合は,その規定はないものとして扱われる事項です。たとえば,ほとんどの中小企業で定めている株式の譲渡制限等があります。

  (3)任意的記載事項
定款に記載することもできますし,記載しないからといって効力が認められないわけではない事項です。しかし,会社にとって基本的な事項は記載しておくほうがよいでしょう。
絶対的記載事項 必ず定款に記載すべき主な事項には以下のようなものがあります。

(株式会社と有限会社の共通のもの)
1)商号
2)会社の目的
3)本店所在地
 なお,本店所在地は,最小行政区画である市町村(東京23区や政令指定都市の場合は区)まで記載するケースと,具体的な番地まで記載するケースがあります。前者であれば,同じ市区町村内で本店の移転をした場合には定款変更の必要がありません。

(株式会社に関するもの)
1)会社の公告の方法
官報または時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法によりますが,中小企業の場合,官報への掲載が一般的です。
2)会社が発行する株式の総数
3)発起人の氏名,住所

(有限会社に関するもの)
1)資本の総額(有限会社の場合)
有限会社の場合は300万円以上になります。
2)出資の口数と出資1口の金額
3)社員の氏名,住所及びその出資口数
相対的記載事項 会社として定める場合には記載する必要がある主な事項は以下のとおりです。

(株式会社に関するもの)
1)株主総会の決議方法及び定足数
普通決議の定足数について,商法に定める定足数を緩めることができます。
2)取締役及び監査役の任期
役員の任期を統一し,役員変更の手続を簡略化するために,「取締役の任期は,就任後2年内の最終の決算期に関する定時株主総会の終結の時までとする」「任期満了前に退任した取締役の補欠として,または増員により選任された取締役の任期は,退任した取締役又は他の取締役の任期の残存期間と同一とする。」等と定めることがあります。
3)取締役会の招集及び議長
取締役会の招集通知は,1週間前までに行うことになっていますが,定款によって短縮することもできます。
4)設立に際して発行する株式
5)最初の取締役及び監査役の任期
6)株式の譲渡制限
中小企業では、「当会社の株式を譲渡するには,取締役会の承認を受けなければならない。」との記載をすることが一般的です。この記載がなければ,株主は,株式を自由に譲渡できることになります。

(有限会社に関するもの)
1)社員総会の招集方法,招集時期
社員総会の1週間前までに通知を出すと定められていますが,定款に記載することでこれを短縮することもできます。
2)社員総会の定足数
社員総会の普通決議の定足数は,定款の記載によって緩和することができます。
3)各社員の議決権
通常は,出資1口に付き1個の議決権としますが,定款によって,別に定めることも可能です。
4)代表取締役の定め
複数の取締役がおり,代表取締役を定める必要がある場合に定めます。
任意的記載事項 必ずしも定款に記載する必要はないものの,一般的に記載することが多い主な事項には以下のようなものがあります。

(株式会社有限会社共通のもの)
1)営業年度
1年を超えない範囲で任意に決めることになりますが,通常は1年でしょう。
2)最初の営業年度
最初の営業年度を,次の決算期までとする定めを置くことが一般的です。
(株式会社に関するもの)
1)株式の名義書換の方法,質権の登録,信託財産の表示の方法
2)株券の再発行の手続
3)株主名簿の閉鎖及び基準日
4)株主の住所等の届出
5)株主総会の召集時期
6)株主総会の議長
7)取締役及び監査役の員数
ただし,株式会社の場合には取締役は3名以上,監査役は1名以上とする必要があります。
9)役員報酬の定め
取締役及び監査役の報酬は,定款で定めることも可能ですが,通常は「株主総会の決議によって定める」とします。
10)利益配当
利益配当金を支払う株主を定めます。「毎営業年度の末日現在における株主名簿に記載された株主又は質権者」とすることが通常です。

(有限会社に関するもの)
1)社員総会の開催時期
2)社員総会の議長
3)社員総会の議事録記載方法
4)取締役と監査役の定め
有限会社では取締役が1名あればよく,監査役も不要ですが,必要であれば別の定めをすることができます。
5)役員の報酬
「社員総会の決議をもって定める」とするのが一般的です。
6)配当金を支払う社員の要件
7)最初の役員
最初の役員(取締役,代表取締役,監査役)を決めることができ,そうすると社員総会議事録を作成する手間を省くことができます。
定款の認証 定款作成後,設立登記を申請する法務局に所属する公証人役場で定款の認証を受けます。 発起人又は社員発起人全員が公証人役場に行くのが原則ですが,委任状があれば代理人だけでも定款の認証を受けることができます。


定款の認証に必要な書類 定款認証に必要な書類は以下のとおりです。

出資金の払込みと払込み保管証明

金融機関への申込 金融機関に出資金を払い込み,払込金保管証明書を発行してもらう必要があります。銀行,信用金庫,信用組合などに申し込みます。

しかし,申し込んだ金融機関との間に取引実績がない場合,すぐには払込金保管証明書を発行してくれないことがありますので,早期に口座を開き,取引の実績を作るなどの必要が出る場合があります。取引の実績があるときも,出資金を払い込む前に,払込金保管証明書を発行してもらえるかどうか,打診しておくなら安全です。

払込金保管証明書の発行 金融機関で,所定の払込事務取扱委託書に必要事項を記入し,添付書類と一緒に提出します。

添付書類は,金融機関に問い合わせるとよいでしょう

払い込んだ出資金は,登記完了後は自由に引き出せます。


設立登記必要書類の作成

調査書(調査報告書)の作成 調査書(調査報告書)とは,実際に,また正しく出資がなされたかどうかを取締役及び監査役が調査したことを証明するための書面です。取締役全員(監査役を選任している場合には監査役も)の押印が必要になります。

以下のような点に注意をします。 調査書は,会社保存用と登記申請用として,合計2部作成し,調査の完了した日から2週間以内に設立登記申請を行います。


取締役会議事録 株式会社を設立する場合,取締役会において,代表取締役を選任し,定款で,具体的な本店所在地を定めていないときは町名・番地まで決定します。取締役会議事録において,代表取締役の承諾の記述をしておくなら,後述する「就任承諾書」を作る必要はなくなります。

「取締役会議事録」は,登記申請用,会社保存用の2通を作成します。 取締役会議事録には出席した取締役全員が押印します。

有限会社を設立する場合,社員総会又は取締役会は,必ずしも開催しなければならないものではありません。


就任承諾書 発起人が取締役・監査役になり,かつ,定款に役員についての記載があれば,就任承諾書は必要ありません。

しかし,以下の場合は就任承諾書が必要になります。





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