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 H16.10.10 ネット上でのニュース見出し無断使用事件 

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ここでは,比較的最近の判例の紹介を通じ,ビジネスに直結する法律知識と実務上の指針を提供します。主な分野として,知的財産(特許,商標,著作権,不正競争防止法等),会社法,労働法,企業取引,金融法等を取り上げます。


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1 今回の判例 ネット上でのニュース見出し無断使用事件
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 インターネット上のサービスを提供するA社が,新聞社・通信社が「Yahoo」に有料配信している記事の見出しを無断利用し,「一行ニュース」として配信していました。
 見出しをクリックすると、Yahooのサイトにジャンプし,記事本文が読める仕組みになっていました。

これに対し,Yahooに記事を提供していた読売新聞が,記事の見出し部分を無断使用して利益を得ているのは違法であるとして,A社に対し,損害賠償と記事見出しの使用差止めを求め,提訴していました。

一審の東京地裁は,請求を棄却していましたが,知財高裁は,約23万7700円の賠償を命じました。ただし,差止め請求は棄却しました。

問題となったのは,
1)「記事見出し」が,「著作物」といえるか,つまり記事見出しの無断使用が著作権侵害といえるか
2)著作権侵害でないとしても,記事見出しの無断複製等が読売東京の営業を侵害する不法行為といえるか
という点です。

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2 判決の概要
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 【著作権侵害】 否定

 読売新聞のウェブサイト「ヨミウリ・オンライン」の見出しは,いずれも各見出しの表現が著作物として保護されるための創作性を有するとはいえない。

 【不法行為】  肯定

 ニュース見出しは,多大の労力,費用をかけた取材,原稿作成,編集,見出し作成などの一連の活動が結実したものといえ,著作権法による保護の下にあるとまではいえないが,見出しのみでも有料での取引対象とされるなど独立した価値を有するものとして扱れている実情があることなどから,見出しは法的保護に値する利益となり得る。

 A社は読売新聞に無断で,営利目的で,かつ反復継続して,見出しが作成されてまもない情報鮮度の高い時期に,見出し及び記事に依拠して,特段の労力を要することもなくこれらをデッドコピー(丸写し)ないし実質的にデッドコピーして「ライントピックスサービス(LT)」見出しを作成し、大量のリンク見出しを配信しており,このサービスが読売新聞の見出しに関する業務と競合する面がある。

 A社行為は,社会的に許容される限度を超えたもので不法行為を構成する。

 使用料について適正な市場相場が十分に形成されていない現状では,損害の正確な額を立証することは極めて困難で,A社の侵害行為によって生じた損害額は1か月につき1万円であると認めるのが相当である。

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3 解説
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【他人の知的財産の尊重には十分注意を払うべき−「フリーライド」の危険】

 判決は,見出しの著作権について「表現いかんでは、創作性を肯定し得る余地もある」と述べましたが,本件では各見出しに「創作的表現」が認められないとして著作権は否定しました。

   しかし,見出しが多大の労力・費用をかけた取材,編集などの活動の成果である以上,法的保護を受けるべきであるという結論は妥当なものでしょう。

 今回のA社の方法が問題であったのは,以下の点でした。
1)情報の鮮度が高い時期の,大量の複製である
2)デッドコピーである
3)営利の目的で反復継続している
4)A社のサービスが読売新聞の見出しに関する業務と競合する

 つまり,資金や労力をかけて創作した報道機関の情報を,これと競合することもある営利業務に使うため「ただ乗り」つまりフリーライドする行為は違法である,とされたものです。

 第三者の知的財産が,厳密には特許法や著作権法で保護されないからといって,これを無断で使用できるかどうかは,慎重な検討が必要です。知財高裁が述べているように「社会的に許容できる限度」か否か,という点で判断されますが,この判断は非常に困難です。

 一般的な断定はできませんが,少なくとも,第三者の知的成果を,これと競合するような業務に使用したり,又は営利目的で使用することは避けた方が安全でしょう。

【見出しは著作物ではないか】

 判決は、見出しを一般的には「著作物」とは認めませんでした。ただし表現内容いかんでは著作物となりうるものであり,この判決が見出しをすべて著作物ではないとしたものではありませんが,現在の著作権法の解釈からみればやむをえないでしょう。


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