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 ビジネス法律ポイント解説

目次
採用と雇用

  内定の取消し
  試用期間
  高齢者の雇用 
労働条件、就業規則

労働条件不利益変更

使用者の義務

安全配慮義務

被用者の義務

被用者の副業
会社の業務命令権 
転勤拒否 
結婚による配置転換 
労働契約の終了

定年の年齢は?
退職は自由?
解雇の種類?
退職後の競業避止義務


解説労務管理の法律


  採用と雇用

内定の取消し〜採用の内定をしましたが、これを取り消すことができますか。 採用内定が、「労働契約が成立した」と いえる程度になった場合は、合理的な理由がなければ、内定取消 はできません。たとえば、(A)入社日の通知(B)勤務場所や身分など各種労働条件を提示した(C)誓約書など必要書類の提出を求めた(D)その他、採用が確定した旨の意思表示を したなどの事実があり、雇用者が採用予定者に採用に向けた手続きを求めたときには「労働契約の成立」があったと認められることが多いといえます。

しかし、「採用予定」としか述べておらず、上記のような事実がなければ、「労働契が成立した」とはいえないでしょう。

そして、前に述べた合理的な理由とは、主に次のようなものがあるといわれています。

提出書類につき、重要な事実に虚偽があった
採用予定者の重大な非行や犯罪
就職希望者の卒業延期
就労にたえられないような著しい健康状態の悪化

そして、上記のような合理的な理由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実でなければなりません。


試用期間と本採用〜3か月の試用期間の後、どんな場合、理由でも本採用を拒否できますか 結論的には、合理的理由がなければ本採用を拒否できません。

試用期間とはいえ、会社と被用者との間では労働契約が成立しており、ただ会社の側に解約権が留保されている、とみることができます。

そして、この解約権は、本採用を拒否できる客観的・合理的な理由があるものに限ります。

具体的には、最初の採用の時点では発見できなかった、従業員としての不適格事由を、社会通念に照らし不採用とすることが妥当な場合に限って不採用に することができます。判例によれば「企業者が、採用決定後における調査の結果により、または試用中の勤務状態等により、当初知ることができず、また知るこ とが期待できないような事実を知るに至った場合において、そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇用しておくのが適当でないと判断することが、 解約権留保の趣旨、目的に徴して、客観的に相当であると認められる場合」に解約権を行使できるとします。ですから、仕事上の少々のミスとか、思想信条 等を理由とした本採用拒否は無効とされるでしょう。この点、会社として、不適格事由を判断するための、何らかの具体的基準を設けておくことは紛争の防止に役立つといえます。


高齢者の雇用 平成16年12月から施行される改正高齢者雇用安定法では、求人に際して、「やむを得ない理由」で年齢制限(65歳以下)をするときには、その理由を書面等の文字にして求職者に示すことが義務づけられました(高齢者雇用安定法18条の2)。「やむを得ない理由」について、厚生労働省は、一定のケースを示しており、これが指針となると思われます。違反に対する罰則はありませんが、公共職業安定所長から指導がなされることがあります。

1 新規学卒者等の募集
2 年齢構成上手薄な特定の年齢層の従業員を補強するため募集
3 何年か経験を積む必要のある業務で定年近くの層を除外した募集
4 年功序列賃金を就業規則で定める事業所で特定の年齢以下を募集
5 特定の年齢層向けの商品・サービスを扱う業務での募集
6 芸術・芸能分野で表現上の必要から限定した募集
7 労働災害の防止上、安全のため特定の考慮が必要な業務の募集
8 体力・視力など加齢による低下があると勤まらない業務の募集
9 中高年齢者に限定しての募集
10 労働基準法等の法律で年齢制限がある業務の募集

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 労働条件、就業規則

労働条件の不利益変更は許されるか  労働条件が、被用者の側に不利益に変更されることがあります。例えば、理由も無く賃金が下がった、退職金が廃止になった、ユニフォームが貸与されていたが貸与されなくなった、などです。

就業規則をこのように不利益に変更できるかどうかについては、合理的な理由がなければならないとされています。具体的には、以下のような要素で判断します。

変更によって被る従業員の不利益の程度
変更との関連でなされた他の労働条件の改善状況
変更の経営上の必要性
(変更しなければ経営状態に重大な悪化を及ぼす場合など)
労働組合・労働者との交渉の経過
(変更にあたって労使交渉があったかどうかなど)

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 使用者の義務

安全配慮義務 労働安全衛生法は、会社に、職場の安全や労働者の健康に配慮する義務を課しています。安全配慮義務違反があれば、罰則があるほか、労働者本人又はその遺族等から高額の損害賠償の請求を受ける可能性もあります。

具体的にどんなことができるでしょうか。

(1)安全衛生管理組織・体制の確立
職場の規模に応じて、安全管理者、衛生管理者、産業医などを配置する、

(2)労働者の危険や健康障害の防止措置
危険防止措置(機械による危険、作業方法による危険、作業場による危険)、事故が起きたときの救護施設の点検、健康障害防止措置

(3)機械の検査や有害物の規制
特定機械等に関する規制、有害物に関する規制を実施する。 作業機械の定期メンテナンス、有害物を扱う場合の使用限度等を定める。重機や機械を扱う場合は免許保持者や有資格者を就業させる。

(4)健康保持への措置
定期健康診断の実施、作業場の環境測定、就業時間等

(5)快適な職場環境の形成
事務所、トイレ、休憩所などの整備

また、年1回の健康診断を行う義務があります。特定化学物質や有機溶剤を扱う職場では6ヶ月に一回の検診となります。そして、検診の結果、被用者の健康が損なわれていることが判明した場合は、就業場所や業務内容の変更、就業時間の短縮などの措置を講じる必要があります。

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 被用者の義務

被用者の副業〜副業を禁止できるか? まず、労働基準法などの法律では、副業禁止の規定はありませんから、就業規則で定めないかぎり、禁止はできません。

そして、就業規則で禁止するとしても、無制限に禁止することはできません。本来、勤務時間外のことを会社が拘束することはできないからです。禁止が許されるのは、副業が原因で会社に損害を与えることが明確な場合です。

その例としては、副業のために遅刻や欠勤が多くなった、競合他社でのアルバイト、会社の秘密が漏洩されると判断される場合等です。


会社の被用者に対する業務命令権 会社と被用者の間に結ばれる労働契約によって、被用者には労働の義務が、会社には労働を命ずることができる業務命令権が生じます。

業務命令には、残業命令、配置転換(転勤や職種変更)、在籍出向、転籍出向、出張、派遣などがあります。また、調査への協力、健康診断の受診など、被用者の本来の労務提供とは直接に関連しない事項を対象とすることもあります。 、被用者は、正当な理由がある場合はこれに従う必要があります。被用者が正当な理由がないのに業務命令を拒否するなら、懲戒処分を受けることもあり得ます。

しかし、労働基準法などの法律に違反するもの、労働契約や就業規則に違反するもの、贈賄、談合、官庁への虚為報告などのその他の違法行為、選挙応援、宗教活動など労働者の個人的自由の侵害に当たる行為、労働者に多大な不利益を生じさせるもの、合理性がないものは、拘束力がありません。

さらに、差別的業務命令(性別を理由にしたもの、国籍信条を理由としたもの、労働組合員であることを理由にしたものなど)も、拘束力がありません。


被用者は転勤を拒否できるか 転勤を命じるには、労働契約、就業規則、又は労働協約などに、「業務上の必要があれば、転勤を命じる」などと記載されているなどの根拠が必要となります。また、就業規則で、転勤を命じることができる旨定められていても、勤務地域を限定する特別の約束があれば、それに反する転勤には、被用者の同意が必要となります。

加えて、転勤命令に根拠があるとしても、ある場合、転勤の命令が会社の権利の濫用にあたる、と判断されることもあります。簡単に言えば、業務上の必要性と、転勤により労働者が被る不利益とを比較し、不利益の程度が著しい場合、権利濫用となる可能性があります。例えば、単身赴任しなければならないケース、重病の家族の介護等をしなければならないケースなど、労働者の生活上の不利益がある場合、業務上の必要性と比較され、さらに、会社がどんな負担軽減措置、代償措置を取っているかも、判断の要素となります。


結婚を理由とした配置転換は? 結婚を理由とした配置転換が行われることは多いようですが、結婚を理由とした配置転換が、女性のみを対象として行われることは、男女雇用均等法に抵触し、権利の濫用にあたる可能性があります。

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 労働契約の終了

定年の年齢は? いわゆる高年齢者雇用安定法8条は、定年は60歳を下回ってはならない、としています。したがって、定年を定める場合、注意する必要があります。

さらに、平成16年12月の改正では、平成18年4月1日から、段階的に雇用年齢を段階的に引き上げ、65歳まで雇用を義務づける制度を導入することになりました(9条)。

平成18年(2006年)4月1日〜   62歳
平成19年(2007年)4月1日〜   63歳
平成22年(2010年)4月1日〜   64歳
平成25年(2013年)4月1日〜   65歳


退職は自由にできるか? 職業選択の自由から、就職・退職は原則として自由にできます。被用者であれば、民法627条1項のとおり、労働契約の解約の申し入れとして、労働者側からの解約申し入れの後、2週間の経過で契約は終了し、会社の承諾は必要ありません。例えば、これに反して、就業規則に、1か月前に退職を申し出ること、と書かれていても、退職の申し出後2週間の経過で、退職の効力が生じます。

退職の申し出は口頭でも可能ですが、文書(辞表など)で行うほうがベターです。


解雇にはどんな種類があるか? 解雇には、整理解雇懲戒解雇普通解雇、があります。解雇は、会社側からの一方的な労働契約の終了であり、被用者の生活に大きな打撃を与えるため、法律で大きく制限されています。

整理解雇は、経営危機や事業所閉鎖などの経営規模縮小に伴う人員整理による解雇をいいます。

整理解雇が許される要件は、実際は、非常に厳しいといえます。一般には、整理解雇には、以下の4つの要件を満たしている必要があるとされています。

1)整理解雇の必要性が本当にあること(会社の維持・存続を図るためには人員整理が必要であること)
2)整理解雇を避けるための努力を会社が尽くしていること(解雇に先立ち、退職者の募集、出向その他余剰労働力吸収のために相当の努力が尽くされたこと)
3)対象者の選定に合理性があること
4)労働者側との間で十分な協議が尽くされていること(解雇の必要性・規模・方法・解雇基準等について労働者側の納得を得るために相当の努力がなされていること)

懲戒解雇とは、被用者の重大な過失又は故意に行なわれた違反に対して制裁的に課される解雇です。例えば、以下のような場合が考えられます。

故意に会社に多大な損害を負わせた
会社の名誉や信用を著しく傷つけた
重大な刑事事件を起こした
正当な理由なくかなりの期間無断欠勤した

通常、解雇の場合は30日前に予告するか平均賃金の30日分の予告手当を支払わなければなりませんが、懲戒解雇は、通常、即時に解雇します(ただし、労働基準監督署の「解雇予告手当の除外認定」を受けなければ、即時解雇はできません。)。また、退職金についても不支給、減額することがあります。

普通解雇とは、労働者の労働能力や労働適格性が欠如している、勤務態度が不良である、非違行為があるなど、労働者の責めに帰す理由によりする解雇のことをいいます。

いかなる事由があるときに普通解雇するのかは、就業規則などで決めることができますが、その理由が「客観的に合理的な理由」でなければなりません。

労働能力の問題や勤務態度の不良であれば、原因、評価の適正、改善のための注意・指導を尽くしたか、などを考慮する必要があります。健康状態の悪化についても、業務内容等との比較で、正常な勤務に堪えられるかどうかの観点から、客観的に合理的な理由でなければなりません。

被用者を解雇する場合、一定の例外を除き、会社は30日前に予告をすることか、または、即日解雇するのであれば、30日分の予告手当を支払わなければなりません。


退職後の競業避止義務を課すことはできるか 企業の競争力のかなりの部分は、無形的資産、ノウハウや情報にあります。それで、被用者が退職後に、同業他社へ就職したり独立自営した場合、会社のノウハウや機密が外部に洩れることになり、会社に損害をもたらす可能性があるため、退職した被用者には、競合する会社に就職させないよう義務(競業避止義務)を課するケースが増えています。

では、被用者には一般的に競業避止義務があるでしょうか。結論的には、ないといえます。まず、昭43.3.27金沢地裁判決が「習得した業務上の知識、経験、技術は労働者の人格的財産の一部をなすもので、これを退職後にどのように生かして利用していくかは各人の自由に属し、特約もなしにこの自由を拘束することはできない」と述べるとおりです。ですから、具体的には、就業規則に競業避止義務を盛り込んだり、誓約書などを取るなどする必要があります。

しかし、どんな内容の競業避止義務も有効とされるわけではありません。極端に重い競業避止義務を課すことは、職業選択の自由を侵害するからです。具体的に、許される競業避止義務の範囲については、競業避止の内容が必要最小限の範囲であり、また当該競業避止義務を従業員に負担させるに足りうる事情が存するなど合理的なものでなければならないとされています。

必要最小限の範囲としては、禁止期間、禁止場所、禁止する業種について最小限でなければなりません。また、合理性の判断としては、その被用者(例えば高度な機密に触れていた者と単なる末端の従業員では当然異なる)に競業避止義務を課さないことによる会社の不利益の重大性、制限を受ける被用者の不利益に対し、何らかの代償措置があるか否か、競業行為の態様などが検討されます。

そして、違反行為に対しては、差止請求、損害賠償請求等ができ、就業規則等で定めがあれば、退職金を支払わない、または返還を求めることも可能な場合もあります。いずれにせよ、就業規則等で競業避止義務を定める場合、違反した場合の措置も定めておくことがよいでしょう。


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