3.4 複製権~著作財産権

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複製権とは何か

 複製権とは、著作権法21条[条文表示]で規定されている著作財産権(著作権)の一つであり、ある著作物を複製する権利です。

 絵画や彫刻のような例を除き、多くの著作物は、複製し、流通させ、譲渡(販売)することによって著作権者は収益を得ます。そのため、複製権は著作権の中でも基本的な権利のひとつであり、英語では著作権を「コピーライト」と呼びます。

複製とは

 「複製」とは何を意味するのでしょうか。以下、著作権法の条文による定義と、裁判例による定義を見ていきます。

著作権法の条文による定義

 まず、著作権法は「複製」を以下のとおり定義しています(2条1項15号)。

 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。

イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

 まず、「有形的」とは、著作物が媒体に固定されることをいいます。また、「再製」とは、元の創作的な表現物と同一のものを作ることをいいます。これだけでは分かりにくいですが、例を挙げれば、手で書き写す、コピー機などで複写する、、録画・録音する、印刷する、写真撮影する、スキャナーなどにより電子的に読み取ることなどがあります。

 他方、2条1項15号イに定める場合を除き、有形的に再製しないものは「複製」とはいいません。例えば、ある楽譜に基づき演奏をすることは複製とはなりません。この場合は「演奏」という行為になります。

裁判例における定義

概要

 また、裁判例では、複製について、「既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製すること」と定義しています(「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」事件・最高裁昭和53年9月7日判決)。

 すなわち、主として2つの要件、(1)依拠性と、(2)類似性によって定義しています。

依拠性

 まずこの「依拠性」とは、他人の著作物を利用して作品を作出することです。それで、ある著作物Aが著作物Bと似ていたとしても、Aの作成者が著作物Bを知らず利用していなかったという場合、「複製」とはいいません。

類似性

 裁判例では、「複製」は、ある著作物と全く同一に再製することだけに限らず、「その内容及び形式を覚知させるに足りる」程度の類似性があればよいとされます。

 多少の修正・増減があり、相違点があったとしても、既存の著作物のその内容及び形式を覚知させるに足りるもの、すなわち、これと表現形式上同一性を有するものであれば複製といえます。例えば、「『SMAP』インタビュー記事事件」(平成10年10月29日判決)では、複製には、表現が完全に一致する場合に限らず、具体的な表現形式(言語の著作物においては、叙述の順序、用語、言い回し等の文面上の表現がこれに当たる。)に多少の修正、増減、変更等が加えられていても、表現形式の同一性が実質的に維持されている場合も含まれる、と述べられています。

例えば、ドラえもんの絵を葉書に書いて販売したとします。作者が絵が上手ではなく、原作に比べて明らかに見劣りするとしても、ドラえもんであることが容易に読み取れるものであれば、複製とされる可能性は高いといえます。/p>

 他方、既存の著作物に依拠しながらも、さらに創作性が認められる程度の修正を行って新たな著作物を創作した場合であって、しかし元の著作物の本質的特徴を感得できるというものについては、複製ではなく「翻案」の問題となります(翻案についてはこちらを参照)。

 


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