「言語の著作物」の解説

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言語の著作物とは

 ここでは、著作権法に定める著作物の一つである「言語の著作物」の内容と保護の対象についてご説明します。

 「言語の著作物」については、著作権法10条1項1号に「小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物」と定められています。しかし、言語の著作物はこれらに限らず、文字で表現されたもの(随筆、俳句、短歌、詩歌、説明書、マニュアル、ウェブサイト上の文章、パンフレット等)でも、又は口頭で伝達されるもの(講演、スピーチ、演説、講義、落語、漫才、講談等)でも、創作性があれば著作物になります。

言語の著作物に含まれないもの

 以下、創作性との関係で言語の著作物に該当しない可能性があるものの代表例をご紹介します。

事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

 他方、著作権法10条2項は、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は、言語の著作物に該当しないと述べています。単に事実を伝達するにすぎない雑報や時事の報道は、著作物に必要な「創作性」がないため、言語の著作物には該当しない、というのが法の趣旨です。

 ただし、この規定は、時事の報道記事についてすべて著作物にならない、と言っているわけではありません。死亡記事、叙勲記事、時事問題のきわめて簡潔な報道等、同じ内容なら誰が書いても同じような表現になるような創作性のない記事をいいます。

 したがって、多くの報道記事には著作権法10条2項の適用はなく、著作物になると考えるべきです。

契約書

 一部の契約書については創作性がないため、著作物に該当しません。例えば裁判例では、船荷証券(B/L)の著作物性を否定しました。

 「船荷証券事件」(東京地裁昭和40年8月31日判決)は、以下のように述べています。

被告がその海上物品運送取引に使用する目的でその作成を原告に依頼した船荷証券の用紙である。それは被告が後日依頼者との間に海上物品運送取引契約を締結するに際してそこに記載された条項のうち空白部分を埋め…る契約書の草案に過ぎない。本件ビー・エルに表示されているものは、被告ないしその取引相手方の将来なすべき契約の意思表示に過ぎないのであつて、原告の思想はなんら表白されていない。

 以上のほか、ごくありふれた条項のみからなる簡潔な契約書も、創作性がないために著作権が認められない可能性が高いといえます。

短文

 内容が平凡でありふれた短文については、創作性がなく著作物とはなりません。ただし、実際の裁判例の事例では、創作性の有無の判断が非常に難しいものもあります。

古文単語語呂合わせ事件(東京地裁平成11年1月29日判決)

 古文単語の語呂合わせを集めた書籍中の語呂合わせの短文の著作物性が争われました。著作物性が認められたものと認められなかったものの例は以下のとおりです。

著作物性肯定例
  朝めざましに驚くばかり
  志賀直哉もガーナチョコレートを食べたい

著作物性否定例
  坂下かしこい
  ナオコがやはり一番サ!

「ママの胸よりチャイルドシート事件」事件(東京地裁平成13年5月30日判決)

 「ボク安心ママの膝よりチャイルドシート」という交通標語(スローガン)の著作物性が争われました。裁判所は、リズミカルな表現、幼児の視点から見た安心という印象や雰囲気の表現、家庭的なほのぼのとした車内の情景の描写といった点から、筆者の個性が十分に発揮されていると判断し、著作物性を肯定しました。



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