8 著作権侵害への権利行使

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権利主張の方法

 自己の著作権や著作隣接権が侵害を受けていると考える場合、どんな権利主張ができるでしょうか。具体的には、主に以下のものが考えられます。

侵害行為の差止請求

 著作者、著作権者等は、著作者人格権、著作権等を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができます。

損害賠償請求

 侵害者に対し、著作権等の侵害行為によって被った損害の賠償を求めることができます。

 では、具体的にはこの賠償の対象となる「損害」はどのように算定するのでしょうか。この点、著作権法は次のような損害額の推定規定・みなし規定を置いています。

  • 著作権法114条1項 侵害者が侵害行為によつて作成された物を譲渡(公衆送信等含む)したときは、その譲渡等数量に、著作権者がその侵害行為 がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額
  • 著作権法114条2項 侵害行為により侵害者が利益を受けている場合は、その利益の額
  • 著作権法114条3項  著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(使用料相当額)

そして、著作権者は、これらのいずれかの手段を選択して損害額を立証できます。これに対し侵害(との主張を受けている)側は、著作権法114条1項については、「著作権者等の能力」を主張立証したり、「譲渡等数量の全部又は一部を著作権者等が販売できない事情」を主張立証して賠償額の減額を得ることができます。

 また、著作権法114条2項の場合については、実際の損害額の反証をすることにより、賠償額の減額を得ることができます。

 他方、最後の場合(著作権法114条3項)には実際の損害額を反証することによっては、減額を得ることはできません。つまり、使用料相当額の損害があったとみなす規定というわけです。もちろん、著作権者の主張する使用料相当額の妥当性を争うことはできます。

権利行使の手順・手続

 以下、自己の著作権等が侵害を受けていると考える場合の手順・手続について解説します。

著作権侵害の事実等の確認、証拠収集

 まずは、以下のような証拠を収集する必要があります。

  • 著作権を主張するための証拠資料
  • 著作権を侵害している物件(複製物等)の入手
  • 著作権侵害者を特定する証拠の収集

証拠保全の申立

 場合によっては、著作権侵害の証拠とするため、証拠保全という手続を行うこともあります。

 例えば、ある会社において自社ソフトウェアがライセンス数を超えて多数の端末にインストールされているといった場合、交渉又は裁判を開始した時点で、相手方が自分の端末からそのソフトウェアを削除してしまうといった不都合が生じます。

 このような場合、証拠保全の申立を行い、裁判所がこれを認めれば、相手方の会社にある端末における違法コピーの事実を証拠として保全することができます。

警告、交渉

 著作権侵害行為の停止又は必要に応じ、損害賠償等の請求を行うため、通常はまず協議を申し出、交渉を行います。

 協議を申し出るにあたっては、通常のビジネスレターの形式を取る場合と、内容証明郵便による警告書という形を用いる場合とあります。どちらを用いるかはケース・バイ・ケースですが、相手方のプロフィール、交渉の主眼(差止か、許諾もあり得るか)、相手方の悪質性、侵害が故意か過失か、その他によって使い分けます。

 協議によって合意に至った場合、多くの場合には合意内容を「示談書」「合意書」といた書面にします。話し合いがまとまらず、又は相手方がそもそも話し合いに応じない場合で、さらに権利主張を行いたい場合には、法的手続が必要となります。

著作権侵害行為差止の仮処分の申立て

 早急に著作権侵害行為の停止を求めたいが相手方が交渉に応じない場合、又は交渉よりも法的手続が効果的であると判断した場合、仮処分の申立を行うことがあります。一般的に、仮処分は、訴訟よりもスピーディに審理がなされるといわれていますが、著作権の帰属、著作物性や権利侵害の事実について争いがある場合には、訴訟と大差ないスピードとなる場合も珍しくありません。

著作権侵害行為差止の訴訟又は損害賠償請求訴訟の提起

 侵害者に対し、訴訟によって、著作権侵害行為の差止又は予防を求めることができます。その際、侵害行為を組成した物、侵害行為によって作成された物又は専ら侵害行為に使用された機械若しくは器具の廃棄を求めることができる場合があります。

 また、侵害者に故意又は過失があり、侵害行為によって損害が発生している場合、損害賠償請求をすることもできます。

裁判外紛争処理機関(ADR)による解決

 当事者間で話し合いによる解決の余地がある場合、裁判外紛争処理機関を利用したほうが迅速円満な解決を得ることができる場合があります。

 例えば、代表的なADRとしては、次のようなものがあります。

刑事告訴

 侵害者の故意が立証できる場合には、刑事告訴ができる場合もあります。

その他の救済手段

 その他の救済手段として、プロバイダ責任制限法に基づく削除請求、侵害物品の輸入差止申立といった手段が使える、又は適切な場合もあります。



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