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6.1 音楽に関連した著作権法上の権利

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音楽に絡む権利~概要

 音楽の場合、各種の権利が入り交じっており、何を利用するかによって、複雑な権利処理が必要となる場合があります。

 まず、楽曲の作曲者・編曲者・作詞者には著作権があり、演奏者や歌唱者等の実演家、レコード製作者(原盤権者)、放送事業者にはそれぞれ著作隣接権があります。それで、使用形態に応じ、場合によっては、音楽について権利を有する者の全部の許諾を得る必要があります。

作詞や作曲の著作権

 まず、作詞した作品や作曲の作品については、「音楽の著作権」が成立します。また、編曲作品についても著作権が成立します。

 この場合、作詞家・作曲家が「著作者」となります。また編曲部分については編曲者に著作権があります。

 もっとも、実務上は多くのケースで、作詞家や作曲家は、いわゆる「音楽出版社」に著作権を譲渡し、音楽出版社が音楽をプロモーションし、かつ著作権を管理することがなされています。

原盤権

 レコード製作者(レコード会社)に対しては、「原盤権」(レコード製作者の権利)が与えられます。

 原盤権についての詳細は、「4.1 原盤権の解説」をご覧ください。

演奏家や歌手の権利~実演家権

 演奏家や歌手は、著作隣接権の一つである「実演家権」を有します(著作権法89条1項[カーソルを載せて条文表示])。

 実演家権の内容の主なものとしては、以下のようなものがあります。

  • 実演家の演奏を録音、録画する権利(著作権法91条1項[カーソルを載せて条文表示]
  • 実演家の演奏を放送する権利(著作権法92条1項[カーソルを載せて条文表示]
  • ネット配信する権利(著作権法91条の2第1項[カーソルを載せて条文表示]
  • レンタルする権利(著作権法95条の3第1項[カーソルを載せて条文表示] 最初の発売後1年以内)
  • 種々の報酬請求権

具体的な音楽の利用と権利処理

 以下、数例ではありますが、利用場面ごとにどこからどのような許諾を得る必要があるかをご説明します。

市販のCDなどのレコードをそのまま自分の店でBGMとして流す場合

 この場合、作曲・編曲・作詞者の持つ著作権の許諾が必要です。

 この点、楽曲の著作権については、JASRAC等の著作権管理団体を通じた権利処理で利用できる場合が多いといえます。

 なお、市販のCDなどのレコードを、例えばデジタル音楽プレーヤーやPCにコピーしてBGMとして流す場合には、複製行為が伴いますので、著作権の許諾に加え、原盤権者(レコード会社)やアーチストの許諾が必要となります(許諾が得られるとは限りません)。

複数のCDから楽曲をピックアップしてCD-Rなどに収録して社内のBGMに使う場合

 以下の許諾を得る必要があります(特に原盤権者などからは許諾が得られるとは限りません)。

  • 作曲・編曲・作詞者の著作権の許諾
  • レコード会社(原盤権者)の原盤権の許諾
  • 実演家等の著作隣接権の許諾

 この点、楽曲の著作権については、JASRAC等の著作権管理団体を通じた権利処理で利用できる場合が多いといえます。

 他方、原盤権については、原盤権者から許諾を得る必要があります(許諾が得られるとは限りません)。また、実演家(アーティスト)の著作隣接権については、契約によってレコード製作者に譲渡されていることが多いため、レコード製作者の許諾で足りることが多いといえます。

他人の曲を自分で演奏・歌唱したものを使用する場合

 他人の曲を自分で演奏したり歌ったりして、この曲をインターネットで使用するという場合は、関係する権利は著作権のみですので、作曲・編曲・作詞者といったその楽曲の著作権者の許諾で足りることになります。

 この点、楽曲の著作権については、JASRAC等の著作権管理団体を通じた権利処理で利用できる場合が多いといえます。

 また、Youtubeやニコニコ動画のような一部の動画共有サイトは、JASRACと利用許諾契約を締結しているため、一定の条件があれば、個別にJASRACへ利用許諾手続きを行なわなくとも、自分で演奏したり歌ったりしたJASRAC管理楽曲をアップロードすることができます。

市販の音源をゲームのBGMに使う場合

 以下の許諾を得る必要があります(許諾が得られるとは限りません)。

  • 作曲・編曲・作詞者の著作権の許諾
  • レコード会社(原盤権者)の原盤権の許諾
  • 実演家等の著作隣接権の許諾

 ゲームの場合、JASRAC等の著作権管理団体が著作権を管理している場合も、著作者に(多くの場合音楽出版社を通して)利用の可否を確認する必要があります。

 また、原盤権については、原盤権者から許諾を得る必要があります(許諾が得られるとは限りません)。また、実演家(アーティスト)の著作隣接権については、契約によってレコード製作者に譲渡されていることが多いため、レコード製作者の許諾で足りることが多いといえます。



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