景表法~有利誤認表示の規制

「有利誤認表示」の概要

有利誤認表示とは何か

 景品表示法(景表法)4条1項2号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、価格その他の取引条件について、一般消費者に対して

(ア)実際のものよりも著しく取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に
  誤認されるもの
(イ)競争事業者にかかるものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費
  者に誤認されるもの

であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています。これをいわゆる有利誤認表示の禁止といいます。

有利誤認表示に対する消費者庁の措置

 そして、景表法に違反する不当な表示がなされているという疑いがある場合、消費者庁は、調査を実施し、その結果違反行為が認められた場合、当該行為を行っている事業者に対し「措置命令」をします。

 また、調査の結果違反の事実が認められない場合でも、違反のおそれのある行為について「警告」がされたり、違反につながるおそれのある行為について「注意」の措置がとられることがあります。

広告表示と有利誤認表示

景表法の観点からの考え方

 他社との競争に打ち勝つためにも、広告において、自社の商品やサービスが他社よりも魅力的であることを消費者に訴求すること、そしてその一部として、低価格や割引が広告で強調して表示される場合があるのは理解できます。

 しかし、例えば、価格や割引について一定の前提条件があるというケースは珍しくありません。その前提条件を満たして初めて当該割引が適用される、という場合です。

そしてその場合には、その一定の前提条件を表示する必要があり、かつそれははっきりと分かりやすく表示される必要があります。

 他方、そのような表示が見にくかったり、分かりにくいものである場合、本件のように、景表法に違反する行為として処分の対象となる場合が生じます。特に、措置命令を受け、これが公表されたといった場合には、企業としての信用に無視できないダメージが及び、かえって顧客が離れていく可能性も否定できません。

 このようなリスクを考えると無闇に訴求効果を追求するのみならず、前提条件についてもきちんと分かりやすく伝えることは、コンプライアンスのみならず、長期的視点から企業の利益になるのではないかと思われます。

公正取引委員会のガイドライン

 この点で、公正取引委員会の「見にくい表示に関する実態調査報告書-打消し表示の在り方を中心に-」というガイドラインは参考になるかもしれません。このようなガイドラインを参考にしつつ、法の趣旨に沿った適正な広告を行なうよう留意することは重要ではないかと考えられます。

  http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.june/08061303hontai.pdf

 このガイドラインでは、ある取引条件を広告で強調するとともに打消し表示を行う場合、「当該打消し表示を明りょうに表示することにより、強調表示と打消し表示とを合わせた表示物全体として、その内容又は取引条件が一般消費者に正確に理解されるようなものでなければならない」と述べ、具体的には以下に例示されるような点に留意するようにと述べています(なお、すべてを網羅的に述べているわけではありませんので、詳細は上記ガイドラインをご覧ください)。

(ア) 打消し表示の配置箇所

   打消し表示は、強調表示に近接した箇所に併記することが最も望ましいとされています。

(イ)強調表示の文字と打消し表示の文字の大きさのバランス

 強調表示の文字の大きさとのバランスの上で表示することが重要であるとされています。例えば、強調表示と同一の大きさにする、強調表示と著しく異ならない程度の文字の大きさとすることがその一例であるとされています。

(ウ)  打消し表示の文字の大きさ

 文字の大きさが著しく小さい場合には一般消費者が打消し表示を見落としてしまう可能性が残るため、最低でも8ポイント以上の大きさで表示することが必要であるとされています。

 


本稿は執筆途中です。加筆し次第順次公開します。



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