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4.3.1 特許侵害裁判~侵害訴訟と仮処分の概要

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特許裁判の種類~訴訟と仮処分

特許侵害に対する法的手段

 特許侵害が生じ、侵害調査をしたがその可能性が高く、相手方にその旨警告したものの相手方との話し合いでは目的が達成できないという場合、裁判を検討せざるを得ないかもしれません。

 特許侵害に対する法的手段としては、主に、「訴訟提起」と「民事保全申立」の二種類があります。法律上の制度としてはこれらの手続は相違点も多いのですが、こと特許侵害案件となると、現実に行うことにはあまり差がありません。

訴訟と仮処分の選択

 上の二種類の手続については、いずれかを選択する場合もあれば、両方を同時並行して行う場合もあります。

 例えば、侵害行為の差止がメインであり、損害賠償請求は行わないということなら、仮処分のみ、という選択肢は有力な選択肢になると思われます。一般に侵害行為の差止請求は、訴え提起時に裁判所に納める手数料(収入印紙)の負担が高額になることがあるからです(ただし、仮処分の場合、決定を出す時点で「保証金」の供託が必要となり、この点は負担となりえます)。

 他方、特許権の存続期間が迫っており、差止請求をしても意味がないという場合や、訴え提起時に裁判所に納める手数料等を考えても、差止請求も含めた全請求について訴訟提起が適切と考えられる場合、訴訟のみという選択肢もあります。

 また、差止請求は仮処分で、損害賠償請求は訴訟で、という同時並行による進行も珍しくありません。

 なお、スピードの観点でいえば、特許裁判に限らない一般論としては仮処分のほうがスピードが早いと言われますが、こと特許裁判に関しては、訴訟でも仮処分でもスピードに大きな差が出てくることは考えにくいというのが現状です。

もっとも、訴訟であれば侵害論(まずは侵害があるか否か)・無効論(特許が無効か)を審理した後、損害論(損害の有無と金額)に移りますが、仮処分の場合損害論は審理されませんので、その分結論が出るのが少し早いといえるかもしれません。

 もう1点差止の仮処分のメリットがあります。仮処分の場合、差止の仮処分が発令されたときには執行停止の方法がないということであり、権利者側にとっては強力なメリットといえます。訴訟の場合、一審で差止請求が判決で認められても、被告が控訴し、その際に執行停止の申立をすれば認められるケースが多いといえますから、そのような意味で、仮処分のほうが早期に販売停止などを実現できる場合があるといえるかもしれません。

特許裁判で行えること

請求内容の概要

 特許裁判で、侵害者に対して請求できる内容は、主として以下のようなものです。ただし、以下のすべての請求がすべてのケースで行えるわけではありません。

  • 差止請求(製造、販売といった侵害行為をやめさせる)
  • 廃棄請求(在庫品や生産に使う金型を廃棄・除却させる)
  • 損害賠償請求(侵害による損害を金銭で賠償させる)
  • 不当利得返還請求(侵害行為についてライセンス料相額を支払わせる)
  • 特許法 65 条に基づく補償金請求(特許公開後、登録までのライセンス料相当額を支払わせる)
  • 信用回復措置請求(謝罪広告その他の信用回復措置を取らせる)
  • 廃棄の請求

     特許法100条2項[条文表示]は、侵害の行為を組成した物の廃棄や、侵害の行為に供した設備の除去の請求を認めています。

     具体的には、侵害品そのもの、その半製品(特許発明の技術的範囲を充足する場合)、生産のための金型等が含まれます。

     この点、特許発明が、侵害製品の一部のみにかかわる場合、製品全体の廃棄が認められるかどうかの問題があります。この場合、製品全体が侵害に該当し廃棄の対象とするか、又は、当該装置のうち侵害にあたる部分を、装置全体を壊さずに特定・抽出し、分別廃棄することが可能かどうかを審理されることが少なくありません。ただしこの場合も製品全体の廃棄を認めた裁判例もあります。

    損害賠償請求

     特許権者は、特許侵害行為によって自己が被った損害の賠償を求めることができます。もっとも、侵害行為によって被った損害の立証は困難であることが多いため、特許法は、損害算定の特別な規定を置いています(特許法102条)。

     この点についての詳細は、「特許侵害と損害賠償の考え方」をご覧ください。

     

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