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4.3.3 特許侵害裁判~特許侵害訴訟の概要・流れ

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本ページでは、特許侵害訴訟の概要と手続の流れについてアウトラインをご説明します。

裁判管轄

 裁判管轄とは、ある事件について、どの裁判所で訴えが提起できるか、という問題です。

 この点、特許権に関する訴えについては、特別な定めが民事訴訟法にあります。簡単にいえば、一般事件であれば管轄となる裁判所が東日本にある場合は、第一審が東京地裁となり、西日本にある場合、第一審が大阪地裁となります(民事訴訟法6条[条文抜粋])。そして、東京地裁又は大阪地裁の知的財産専門部において審理されます。

 例えば、埼玉県にある会社(原告)が、山口県にある会社(被告)に対し、特許権侵害を主張して損害賠償請求訴訟をするとします。まず、民訴法の原則では、被告の所在地に管轄がありますので(民訴法4条1項[条文表示])、この場合、上の規定に従い、山口県が所属する西日本として大阪地裁が管轄となります。

 他方、損害賠償請求に関する訴訟は、「義務履行地」という考えに基づき、原告の所在地に管轄があるとされることが少なくありません(民訴法5条1号[条文表示])。そのため、上のケースも、原告が所在する埼玉県が東日本に属することから、通常は、東京地裁で訴訟を起こすこともできます。

特許侵害訴訟の3段階と流れ

特許侵害訴訟の段階

 特許権侵害訴訟は、以下のとおり、侵害論・無効論・損害論の3段階になっていると考えられています。

  • 侵害論・・・対象製品(一般に「イ号」といわれます)が特許発明と抵触しているか否か
  • 無効論・・・請求の根拠となる特許権に無効理由があるか否か
  • 損害論・・・侵害論の結果、抵触しているという場合、イ号製品の実施により、特許権者が被った損害がどの程度か

特許侵害訴訟の流れ

以下、特許侵害訴訟の流れをご説明します。なお、以下は典型的な流れですが、実際はこれとは異なる流れをたどったり、他のプロセスが入ることがあります。

訴え提起

 原告が訴状・添付書類・証拠を裁判所に提出し、訴えを提起します。

訴状審査・補正

 裁判所が、原告の訴状を審査し、形式的不備や訴状の記載に矛盾等がないか審査します。場合により、原告が訴状を補正したり、訴状の内容を訂正することがあります。

第1回口頭弁論の決定

 裁判所の訴状審査が終わると、第1回の口頭弁論の日時が指定され、被告に対し、訴状・証拠とともに、第1回の口頭弁論の呼出状が送達されます。

答弁書の提出と第1回口頭弁論の実施

 被告は、原則として第1回の口頭弁論の前までに、答弁書を準備し、裁判所と原告に送付します。その上で第1回の口頭弁論が開かれます。

口頭弁論・弁論準備手続

 第1回口頭弁論の後、1か月~2か月に1回のペースで、裁判が開かれます(「口頭弁論」という形の場合も、「弁論準備」という形もあります)。その中で、相互に書面を提出して主張反論を行い、書類その他の証拠を提出して立証活動が行われます。

尋問手続

 当事者や証人が出頭して、尋問が実施されることがあります。ただし、特許侵害訴訟においては尋問が実施されることは多くはありません。

和解協議

 当事者間で相互に譲歩して合意し、紛争を解決することを「和解」といいます。訴訟のある段階で、裁判所も交えて和解の協議がなされることは少なくありません。

審理終結・判決

 すべての審理が終結すると、裁判所は判決言渡の日を定めます。そして、判決言渡の日に、裁判所が判決を言い渡します。なお、判決は「判決書」として、当事者に送達されます。

特許侵害訴訟の判決で命じることのできる内容

請求内容の概要

 特許裁判において特許権の侵害が認められた場合、裁判所が命じることができる内容は、主として以下のようなものです。ただし、原告が請求しない限り裁判所が命じることはありませんし、原告が請求しても裁判所がすべてを認めるとは限りません。

  • 差止(製造、販売といった侵害行為の中止)
  • 廃棄(在庫品や生産に使う金型の廃棄・除却)
  • 損害賠償(侵害による損害の金銭賠償)
  • 信用回復措置(謝罪広告その他の信用回復措置)
  • 廃棄の請求

     特許法100条2項[条文表示]に基づき、裁判所は、侵害の行為を組成した物の廃棄や、侵害の行為に供した設備の除去を命じることができます。

     具体的には、侵害品の在庫、その半製品(特許発明の技術的範囲を充足する場合)、生産のための金型等が含まれます。

     この点、特許発明が、侵害製品の一部のみにかかわる場合、製品全体の廃棄が認められるかどうかの問題があります。この場合、製品全体が侵害に該当し廃棄の対象とするか、又は、当該装置のうち侵害にあたる部分を、装置全体を壊さずに特定・抽出し、分別廃棄することが可能かどうかを審理されることが少なくありません。ただしこの場合も製品全体の廃棄を認めた裁判例もあります。

    損害賠償請求

     裁判所は、侵害者に対し、特許侵害行為によって特許権者が被った損害の賠償を命じることができます。もっとも、侵害行為によって被った損害の立証は困難であることが多いため、特許法は、損害算定の特別な規定を置いています(特許法102条)。

     この点についての詳細は、「特許侵害と損害賠償の考え方」をご覧ください。

     

     

     

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