2014-11-25 テレビ台の形態と不正競争防止法

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1 今回の判例 テレビ台の形態と不正競争防止法

 

大阪地裁平成25年9月19日判決

 A社は、特徴的な機能を持つテレビ台を製造販売していました。その特徴とは、上下に重ねる2つの箱の水平方向の位置関係を変えることによって、様々な形態に変更できるというものでした。

 なお、実際の写真は、以下のとおりです。

不正競争防止法2条1項1号の例(テレビ台事件 大阪地裁平成25年9月19日判決) 不正競争防止法2条1項1号の例(テレビ台事件 大阪地裁平成25年9月19日判決)
判決文の16頁から引用
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/592/083592_hanrei.pdf

 そして、A社はB社に対し、B社の商品の形態がA社の商品の形態に類似するなどとして、製造・販売等の差止などを請求しました。

 

2 裁判所の判断

 裁判所は、以下の各点を含む事情を総合考慮して、請求を棄却しました。

● A社の商品は、特徴的な機能を有するものの、その形態が機能に基づくものであり、平成22年1月までには、既に、他社のテレビ台が同様の機能に基づく形態上の特徴を有していたことを考えると、形態自体によって特別顕著性を取得していると考えるのは困難である。

● A社商品の販売実績、広告宣伝の状況、購買状況等を考えても、A社商品の形態が、「商品等表示性」を獲得するに足りるだけの周知性を獲得していると認めることはできない。

● 以上から、B社商品とA社商品の形態が類似しているか否かにかかわらず、A社の請求には理由がない。

 

3 解説

(1)商品デザインの保護と不正競争防止法

 自社の商品が第三者によって模倣されたり、第三者が自社商品と非常によく似た形態の商品を製造販売するといったケースが考えられます。この場合、商道徳上は別として、法律上、当然に違法となるというわけではありませんが、不正競争防止法によって違法とされることがあります。

 不正競争防止法が他人の商品の形態と類似の商品の製造販売を規制する場合とは、大きく分けると次の2つです。

a)「混同惹起行為規制(不正競争防止法2条1項1号)」

b)「商品形態模倣行為(同上2条3号)」

 本件で問題となったのは、前者です。以下前者について簡単に解説します。

(2)商品デザインの保護と混同惹起規制行為

 不正競争防止法2条1項1号は、「他人の商品等表示として需要者の間で広く認識されているものと同一・類似の商品等表示を使用し、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為」を不正競争行為として禁止しています。

 この規定から分かるように、単に他人の商品と似ているというだけで、商品の製造販売が規制されるものではなく、商品の形態が非常に特徴的で、需要者(この商品の取引に関わる人々)が、この特徴的な形態を見ると、特定の会社の商品であると分かる程度に知られていること(周知性)が必要となります。

(3)商品形態の決定と企業戦略

 以上のとおり、不正競争防止法による商品形態の保護には一定の要件が必要ですので、重要な商品形態の保護を考えるのであれば、意匠登録が望ましいといえます。もっとも、意匠登録にも、一定の要件(新規性、創作非容易性等)がありますから登録ができないケースもあります。

 そして、不正競争防止法2条1項1号による商品形態の保護を検討するにあたって1つのハードルとなるのは「周知性」の立証です。そしてそのためには、普段の証拠の収集と保存が大きくものをいいます。

 この点、自社製品について、周知性についての主な立証手段としては以下のようなものがあります(以下は例示です)。

  • 販売期間・販売数量・販売地域の資料
  • 売上高の資料
  • 市場シェアの資料
  • 他社製品の形態についての資料
  • 販売店数・インターネットサイトの閲覧量等
  • 新聞・雑誌・書籍・テレビ・ラジオ・イベント・インターネットにおける当該製品が取り上げられた事実・資料(多ければ多いほどよい)
  • 広告宣伝費の金額、宣伝・広告の地域・量・内容に関する資料(多ければ多いほどよい)
  • 需要者に対するアンケート調査

 以上のような資料は、紛争が生じてから収集できるものもあるかもしれませんが、そうではないものもあるでしょう。そのため、いざ紛争が生じたときの立証手段に窮し、受けられるべき保護が受けられなくなる、といった事態が生じるかもしれません。

 この点、普段の業務過程で生じる資料を保存しておくことが、また、関連部署間の連携をスムーズにして資料を活用しやすくすることが、そのような事態をできる限り防ぎ、自社の正当な利益の保護につながることになるかもしれません。

参考ページ:不正競争防止法解説 http://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/fukyouhou/index/


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