2017-07-12 景表法違反と課徴金納付命令

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1 今回の事例 景表法違反と課徴金納付命令

消費者庁平成29年1月27日措置命令及び課徴金納付命令

 A社とB社は、カタログ及び自社ウェブサイトにおいて表示する自動車の燃費性能が、実際には、国が定める試験方法に基づくとはいえないもので、燃費性能として表示できる上限は記載された水準を下回っていました。

 なお、A社が供給する自動車はA社が製造したものでしたが、B社の供給する軽自動車はA社からのOEM供給であったとされています。

 提携先のB社がこれらの燃費を測定したところ提出されていたデータと異なる数値が検出されたことから不正が発覚したものの、B社自身も、実際とは異なる数値を表示し続けていました。

 このように得られた水増しデータを広告やカタログに掲載していた行為が景品表示法の規制する優良誤認表示として問題となりました。

 

2 消費者庁の判断

 消費者庁は水増しデータを広告やカタログに掲載していた行為が景品表示法5条1号の優良誤認表示に該当するとして、A社及びB社に対し措置命令(同法7条1項)を行うとともに、A社に対しては4億8507万円の課徴金納付(同法8条1項)を命じました。

 

3 解説

(1)景表法と優良誤認表示

 本稿で以前取り上げたように、景表法5条1項1号は、「商品又は役務の品質、規格その他の内容」について、一般消費者に対し、「実際のものよりも著しく優良である」などと示し、「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」に該当する表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

(2)景品表示法における課徴金納付命令制度の創設

 これまでは、事業者が優良誤認表示をはじめとする不当表示をした場合には、消費者庁が差止、再発防止等の措置命令を出すことができましたが、昨年4月から施行された改正法で、課徴金納付命令の制度が創設されました。そして、今回のケースのように、課徴金納付命令は、措置命令(7条)と同時に出されることもあります。

 この課徴金は違法な事業で得た利益の剥奪という意味合いがあることから、不当表示をした期間(課徴金対象期間)における対象商品などの売上金の3%と定められています。また、不当表示をやめた日から6ヶ月以内に取引をしていればその日まで期間が延長されます(8条1項、2項)。

 この課徴金制度には、自主申告により課徴金が2分の1まで減額される制度(いわゆるリニエンシー制度)が設けられています(9条)。ただし、この自主申告は、調査が入るまでに行う必要があります。

(3)実務上の留意点

 課徴金制度について留意すべきなのは、売上の3%という金銭上のペナルティが課されるほか、公表・報道されることにより企業イメージにかなりのマイナスとなるという点です。

 また、今回のケースのB社のように、自社製造でなくOEM供給などの場合でも、不当表示をした、または不当表示を知らなかったことにつき相当な注意を怠らなかったとはいえないとして措置命令等の対象となることがあります。

 また、優良誤認表示の疑いがある場合には、事業者が消費者庁から合理的な根拠を示す資料の提出を求められることがあります。この場合に事業者が一定期間内に当該資料を提出しないときも、その表示が優良誤認表示であるとみなされ(7条2項)、措置命令や課徴金納付命令の対象となる、という点も留意が必要です。

 それで、普段から、自社製造品について表示の裏付けとなる客観的な資料を準備しておくなど不当表示を行わないように細心の注意を払うことだけでなく、OEMのように他社から仕入れている商品についても、実態に合わない表示がなされていないか、表示の裏付け資料の提出を求めるなどして十分に確認することは重要となると思われます。

 

4 弊所ウェブサイト紹介~IT・ソフトウェア・システム開発

弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

本稿のテーマとは関係がなく恐縮ですが、IT・ソフトウェア・システム開発・コンピュータ関連問題は弊所の最大の取扱分野の一つです。

https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/it/index/

にあるとおり、システム開発委託契約、ソフトウェア使用許諾契約、ソフトウェアOEM契約といった契約のポイント、オープンソースやシステム開発に関連した法律問題・係争に関する解説など豊富な解説を用意しています。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイトにおいて解説に加えることを希望される項目がありましたら、メールでご一報くだされば幸いです。



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