2011-11-01 商品の効果・性能の表示と景表法

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事案の概要

今回は、判例ではなく、公正取引委員会の排除命令を取り上げたいと思います。

H21.3.16 公取委排除命令

「いびきクリップ」という商品を販売するA社とB社、「磁力クリップ」という商品を販売するC社は、それぞれ、「いびきスッキリ、静かに快眠。」「睡眠時鼻につけるだけで、いびきを軽減。」など、いびきの軽減の効果を標ぼうして商品を販売していました。

これに対し、公正取引委員会は、以下のように判断しました。

3社は、それぞれ、商品の包装容器及びインターネット上のウェブサイトにおいて、あたかも、当該商品を鼻に取り付けることにより,いびきを軽減するかのように示す表示を行っているが、当委員会が3社に対し当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、A社及びB社は資料を提出せず、C社が提出した資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められない。

そして、当該商品の表示が、不当景品類及び不当表示防止法(景表法)4条2項の規定(不実証広告規制)により、同条1項1号(優良誤認)に該当する表示とされ、景表法6条1項に基づき、以下の排除命令が出されました。

  • 前記表示は、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものである旨を公示すること。
  • 再発防止策を講じて,これを役員及び従業員に周知徹底すること。
  • 今後、同様の表示を行わないこと。

解説

(1)優良誤認表示と資料の提出

景表法4条1項1号は、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」に該当する表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

そして、景表法4条2項によれば、このような優良誤認表示の疑いがある場合に、公正取引委員会は、その表示を行った事業者に対し、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとされています。そして、事業者が一定期間内に資料を提出しないときは、その表示が優良誤認表示であるとみなされ、排除命令の対象となる、と定められています。

この規定の趣旨は、公正取引委員会による優良誤認行為の立証にかかる時間を短縮し、合理的な根拠がなくなされている優良誤認表示に対する迅速な規制を実現できるようにすることにあります。

(2)資料が「合理的根拠」となるための要件

「不当景品類及び不当表示防止法第4条第2項の運用指針(不実証広告ガイドライン)」は、景表法4条2項の「合理的な根拠を示す資料」といえるためには、以下の要件を求めています。

ア 提出資料が客観的に実証されたものであること
イ 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること

また、資料の提出期限については、公正取引委員会が資料の提出を求める文書を送達した日から、原則として、15日後とされています(不当景品類及び不当表示防止法第4条第2項の規定による資料の提出要求の手続に関する規則2条)。

(3) 商品販売開始前からの資料準備の必要性

以上のとおり、ある商品の販売を行うに際し、その性能や効果等をうたった表示をする場合には、その販売開始前にその合理的根拠を示す資料を確保しておく必要性は高いといえます。

そもそも、商道徳・ビジネスモラルの観点からも、実証されていない効果を表示することは問題がないとはいえないでしょうが、既に述べたとおり、公正取引委員会から資料の提出を求められてからはじめて準備しようとしても、15日という期間では短かすぎるからです。

そして、合理的な根拠を示す資料を提出できないときには、その表示が実際には正確な表示だとしても、優良誤認表示とみなされ、排除命令の対象となってしまいます。また、その排除命令が公表・報道される場合には、自社の評判にも大きな影響が生じかねません。

なお、資料が「合理的根拠」となるための要件の詳細については、別の機会に詳細に紹介したいと思いますが、商品の表示が落とし穴とならないよう十分に注意すべきでしょう。



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