2015-09-18 おとり広告と景表法

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1 今回の判例  おとり広告と景表法

今回は裁判例ではなく、消費者庁の措置命令を取り上げます。

消費者庁平成27年5月1日措置命令

 中古自動車を販売するA社は、中古自動車情報誌に24台の中古自動車について、「修無」と記載することにより、あたかも当該中古自動車の車体の骨格部位に修復歴がないかのような表示をしていましたが、実際は、オークション出品票に、車体の骨格部位が損傷するなどの修復歴を示す記号が記載された修復歴があるものでした。

 またA社は、中古自動車情報誌に8台の中古自動車について、「発売日」欄記載の日以降、当該中古自動車を販売することができるかのように表示していましたが、「発売日」欄記載の日よりも前に売買が成立しており、取引に応じることができないものでした。

2 裁判所の判断

 消費者庁は、以下のとおり判断し、措置命令を発しました。

● A社が行っていた表示が景品表示法に違反するものである旨を一般消費者へ周知徹底すること。

● 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。

● 今後、同様の表示を行わないこと。

3 解説

(1)おとり広告に関する表示の規制

 景表法は、表示や広告について、さまざまな規制を定めています。

 この点、景品表示法(景表法)4条1項1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの品質、規格その他の内容について実際のものよりも著しく優良であると表示することや事実に相違して競争事業者に係るものよりも著しく優良であるとする表示を禁止しています。

 また、特におとり広告については、「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)という告示が定められ、さらに詳細に定めています。

 同告示によれば、以下のような表示を不当表示として規定しています。

(a) 商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていない場合の表示

(b) 商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合

(c) 商品・サービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合

(d) 商品・サービスについて、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合、その他実際には取引する意思がない場合

(2)違反の場合の効果

 景表法に違反する不当な表示がなされているという疑いがある場合、消費者庁は、調査を実施し、その結果違反行為が認められれば、当該行為を行っている事業者に対し「措置命令」を発します。

 また、調査の結果違反の事実が認められない場合でも、違反のおそれのある行為について「警告」がされたり、違反につながるおそれのある行為について「注意」の措置がとられることがあります。

 特に、措置命令を受けると、多くの場合即日に、インターネット上で公表されることになります。この場合、企業としての信用に無視できないダメージが及び、顧客を引き寄せようと思って行った行為が大きな逆効果となりえますから、十分な注意が必要です。

(3)ビジネス上の留意点

 例えば、ビジネスとして、数量や期間について、限定品として販売するという場合は当然考えられるところです。この場合には、単に、「数に限りがありますのでお早めに」という記載ですと、「明瞭」とはいえないと判断されてしまうおそれがありますので、「限定○個」という表示を行うことが望ましいといえます。

 また、期間の限定では、具体的な供給期間(「●月●日~●月●日」とか、タイムセールの場合は、「●時から●時まで」等)、供給の相手方(例えば、「メール会員限定」など)、また、1人当たりの販売数量(「お1人様○個まで」等)を記載する必要があります。

 弊所もときおり顧問先企業から、広告や商品表示・パッケージのチェックの依頼を受けることがありますが、「おとり広告」かどうかは別として、景表法や他の広告規制(薬事法など)に照らして疑義が生じるような記載が見受けられることがあります。広告や表示は、様々な分野にわたる法令のほか、行政庁の告示などの規制に加え、公正競争規約といった規制もありますので、一度こうした規制について、担当者がひととおり学ぶ機会を持つこともよいことかもしれません。



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