2021-12-07 鉄道高架下土地の賃貸借契約と借地法

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1 今回の事例 鉄道高架下土地の賃貸借契約と借地法

 神戸地裁令和2年2月20日判決

 A社は、鉄道会社B社から、鉄道高架下の土地を借りて建物を建てて店舗を営業していました。B社はA社に対して、当該賃貸借契約の期間満了を理由として当該土地の明渡しを求めました。

 A社は、当該土地について借地法(借地借家法の改正前の法律)の適用があると主張しましたが、裁判所は、当該賃貸借契約については借地法の適用がないと判断し、B社による明渡の請求を認めました。

解説

 自社の事業のために土地を賃借して店舗などを運営している会社は少なくありません。

 一般では、土地の賃借権は法律で手厚く保護されると考えられていますが、実は、すべての借地権が手厚く保護されるわけではありません。

 なぜなら、借地権を強力に保護する法律である「借地借家法」が対象としている借地権は、「建物の所有を目的とする」ものに限られるからです(借地借家法2条1項)。

 そのため、ある契約について建物所有目的であることが否定され、借地借家法による保護が受けられない場合があり、事業の継続性の判断に影響が及ぶことがあります。

 この点、これまでの判例の事案を挙げると、以下のようなものがあります。

 ◇ 建物所有目的が肯定されたケース

   自動車教習所としての使用
   (教習コースと建物について学校経営上の一体性が認定された)

 ◇ 建物所有目的が否定されたケース

   ・ゴルフ練習場としての使用

   ・バッティング練習場としての使用

   ・隣接土地の幼稚園の運動場としての使用

   ・契約書に「鋼材及び駐車場」と書かれ
    「プレハブ構造の仮設建物」があった事例

 それで、第三者の土地を賃借して事業を行う場合、当該賃借権が長期間保護されるものか否かは、事業の継続性の観点から重要です。

 それで、将来トラブルとなって借地借家法の適用が争われそうなケースについては、事前の対応が功を奏するかもしれません。例えば、契約書の記載において、建物の所有が借地の主要な目的であることを明示することも一定の効果があると考えられます。

 また、訴訟の現場においては、ある契約が「建物所有目的」といえるかの認定に当たって、契約書の文言のみならず、現実の使用状態も重要な判断要素となります。それで、土地の使用方法を考えると借地借家法の不適用リスクが残るという場合、予め交渉の上、事業継続に必要な程度の長い契約期間を確保するといった対応も考えられます。



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