英文秘密保持契約(Non Disclosure Agreement)の解説

 
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本ページでは、英文による秘密保持契約(機密保持契約)のアウトライン、また同契約の主要な条項の一部について、簡単なサンプルを通してポイントをご説明します。

秘密保持契約(NDA)とは

 企業にとって有形資産よりも情報やノウハウという無形資産がますます重要となってきている現在、企業間取引やその前提となる商談において交わされる自社の秘密情報の保護の必要性は高いといえます。

 それで、相手先に提供した営業秘密が漏洩されたり目的外に使用されないよう、実務上多くの場合、「秘密保持契約書」(機密保持契約書)が締結されます。

 なお、秘密保持契約は、英文では、NDA(Non Disclosure Agreement)という名称が最も多いと思われますが、そのほか、”Confidentiality Agreement”と呼ばれたり、”Secrecy Agreement”と題されることもあります。

 もっとも、重要なのは契約書のタイトルではなく、中身です。

秘密保持契約の規定ポイント

 以下、本ページでは、英文による秘密保持契約(NDA)の主要なポイントについてご説明します。以下は、主要条項の一部を取り上げますが、今後必要に応じ加筆する予定です。

 なお、サンプル条文は、もっぱら条項の趣旨、目的、狙いを解説することを目的としています。それで、条項間の整合性については検証しておらず、必要な事項すべてを網羅しているとは限りません。また、各規定の有効性・執行可能性についての保証もありません。それで、本ページのサンプルを「雛形(ひな形)」として使用することはご遠慮ください。

契約の目的

規定例

Article ** (Purpose)
1. The purpose of this Agreement is to provide the confidentiality obligations of the confidential information that either party hereto (hereinafter the “Disclosing Party”) discloses to the other party hereto (hereinafter the “Receiving Party”) in connection with considering the feasibility of carrying out a joint project in regard to *** in Japan (hereinafter the “Purpose”).

第*条(目的)
 本契約は、日本において、***に関する共同事業を遂行することの可能性を相互に検討すること(以下「本目的」)に関連して、一方当事者(以下「開示当事者」)が他方当事者(以下「受領当事者」)に対して開示する秘密情報にかかる秘密保持義務について定めることを目的とする。

条項のポイント~開示目的の特定

 秘密保持契約においては、秘密情報を開示する目的を、できる限り具体的に特定することは望ましいといえます。そうすることによって、違反行為と許される境界を明確にし、秘密情報の保護に資することになります。

 もっとも、企業間の多種多様な取引に関して交わされる秘密情報について広く網羅する意味で、開示目的を特定せずにNDAを締結することも実務上は珍しくありません。このような場合には、開示の時点で、書面その他エビデンスに残す形で開示目的をきちんと明らかにして開示するという運用が重要になると考えられます。

秘密情報の特定

規定例

Article ** (Confidential Information)
1 “Confidential Information” shall mean (i) the terms and conditions of this Agreement and (ii) the information which is disclosed to the Receiving Party by the Disclosing Party in any manner, whether orally, visually or in tangible form (including but not limited to in writing) in connection with the Purpose.
2 Notwithstanding the foregoing Paragraph, Confidential Information shall not include the following:
(1) any information that is publicly known at the time of the disclosure;
(2) any information that becomes publicly known through no breach of this Agreement after the disclosure;
(3) any information that is known by the Receiving Party at the time of the disclosure;
(4) any information that has legally been obtained by the Receiving Party from a third party as to which information the Receiving Party owes no confidentiality obligation; or
(5) any information that has been independently developed by the Receiving Party without reference to or use of Confidential Information disclosed by the Disclosing Party.

第*条(秘密情報)
1 「秘密情報」とは、(i)本契約の条件、並びに、(ii)口頭によるか、視覚によるか、有形物(書面を含み、これに限らない)によるかを問わず、本目的に関連し、開示当事者から受領当事者に対して開示される情報をいう。
2 前項にかかわらず、次の各号に掲げる情報は秘密情報に含まれない。
(1) 開示の時点で既に公知となっていた情報
(2) 本契約に対する違反がなく開示後に公知となった情報
(3) 開示の時点で既に受領当事者が知っていた情報
(4) 第三者から秘密保持義務を負うことなく正当に入手した情報
(5) 開示当事者から開示された秘密情報を参照したり利用したりすることなく独自に開発した情報

条項のポイント1~秘密情報の定義

 秘密情報を定義する規定を置きます。上のサンプルでは、当該秘密保持契約の条項に加え、開示目的に関連して開示される一切の情報という文言によって、網羅的に秘密情報を定義する形をとっています。

 こうした網羅的な定義の場合、ある特定の秘密情報について相手方が「秘密情報とは知らなかった」と主張してくる可能性もあり(特に開示目的が明確ではない場合)、秘密情報の対象となるかについて難しい争いが生じるという問題点があります。

 他方、秘密情報の定義の方法として、開示当事者による「秘密」の指定・表示がある情報を、秘密情報と定義する方法もあります。この場合のメリットは、受領者にとっては、秘密情報とそうでない情報の区別が、秘密情報自体を見れば判別できるという点です。

 もっとも、こうした秘密情報の定義方法では、開示当事者があやまって秘密表示をしないまま秘密情報を開示すると、その情報が保護の対象外となるリスクがあります。

 以上のとおり、秘密情報の定め方には、それぞれのメリット・デメリットがありますので、こうした点を考えて秘密情報の定義の仕方を検討していく必要があります。

条項のポイント2~秘密情報の具体的列挙

 秘密情報の定義の条項においては、開示当事者が、特に秘密保持の必要性が高い重要と考える情報について、具体的な例示を追加するということも実務上行われることが少なくありません。

 具体的には、「以下の各号の情報は、本契約に定める秘密情報に含まれるものとする(これらに限らない)」とした上で、「●●製品に関する設計ノウハウ、開発ノウハウ」「●●製品に関する開発計画」「●●に関する運用ノウハウ」といった文言で限定的に列挙していく方法です。

条項のポイント3~秘密情報の例外

 また、多くの場合、実務上は、公知化された情報など、実質的に見て保護に値しない情報を秘密情報の例外として定めます。上のサンプルは、一般的な例外規定の例です。

 もっとも、秘密情報の例外の規定についても、安易に既存の例を使用するのではなく、秘密情報の重要度と保護の必要性に応じた吟味が必要です。例えば秘匿性の高い情報であって慎重な対応を行うため、受領当事者が、当該例外規定に定める事実を書面などの客観的証拠で立証することを、例外規定の適用の条件に加える、といったことが考えられます。

秘密保持義務の定め

規定例

Article ** (Confidentiality)
1 The Receiving Party shall manage the Confidential Information with the same degree of care as that of a prudent manager, and shall not disclose or divulge any Confidential Information to any third party without the prior written approval of the Disclosing Party.
2. The Receiving Party shall use the Confidential Information only for purposes directly related to the Purpose, and shall not use such Confidential Information for any other purposes without the prior written approval of the Disclosing Party.

第*条(秘密保持)
1 受領当事者は、開示当事者の秘密情報を善良な管理者の注意義務をもって管理し、開示当事者の書面による承認がない限り、秘密情報を第三者に開示又は漏洩しない。
2 受領当事者は、秘密情報を、本目的以外の目的で使用せず、開示当事者の事前の書面による承認がない限り、他のいかなる目的でも使用しない。

条項のポイント~秘密保持義務

 NDAにおける最も基本的な義務は言うまでもなく秘密を保持すべき義務です。具体的には、秘密情報を第三者に開示漏洩しないこと、目的外使用の禁止は、まず規定すべき義務です。

開示が許される第三者

規定例

Article ** (Disclosure to Employees)
1 The Receiving Party may disclose the Confidential Information,
(1) to its employees, officers, or directors (hereinafter collectively the “Employees”), who needs to know such Confidential Information related to the Purpose, or
(2) to the Receiving Party’s lawyers, certified public accountants, tax accountants, other professional advisers who have a duty of confidentiality under the Laws,
, provided, however, that any such disclosure shall only limited to the extent reasonably necessary and the Receiving Party shall impose on the Employees confidentiality obligations which are substantially the same as those which the Receiving Party owes to the Disclosing Party hereunder.
2 In case that the Receiving Party is required to disclose any Confidential Information by law, a binding order issued any court or administrative body, or lawful requirements of any stock exchange, the Receiving Party may disclose the Confidential Information pursuant to such requirement, provided, however, that the Receiving Party shall promptly and prior to the said disclosure (if possible) notify the Disclosing Party of such requirement, so that the Disclosing Party may seek an appropriate protective order and disclose only the portion of Confidential Information that is necessary to comply with such requirement.

第*条(従業員等への開示)
1 受領当事者は、秘密情報を、以下に対して開示することができる。
(1) 本件目的に関連して当該秘密情報を知る必要のある自己の従業員、役員又は取締役(以下「従業員等)
(2) 受領当事者の弁護士、公認会計士、税理士、又は法律上秘密保持義務を負う専門家
ただし、当該開示は、合理的観点から必要な範囲に限るものとし、受領当事者は、当該従業員等に対して、本契約に基づき自己が負うのと同等の義務を課すものとする。
2 前項に加え、受領当事者は、法令によって、裁判所若しくは行政機関が発する遵守義務のある命令によって、又は証券取引所の合法的な要求によって、ある秘密情報の開示が義務づけられた場合、当該義務に従った開示をすることができる。ただし、受領当事者は、開示当事者が必要な保護命令を得られるよう、迅速に、かつ当該開示の前に(可能なら)、開示当事者に対し当該義務について通知をするとともに、当該義務を遵守するために必要な部分のみ開示する。

条項のポイント1~役員・従業員への開示

 開示された秘密情報を業務に使う以上、一定範囲の役員や従業員に秘密情報を開示することは当然必要です。しかし、開示当事者の立場からは、受領当事者が、その役員や被用者であれば誰彼となく開示してもよいとは考えないでしょう。

 それで秘密情報のコントロールの観点から、サンプルのように、開示できる役員や従業員を限定することが一般的です。サンプルでは、「本件目的に関連して当該秘密情報を知る必要のある」という限定の仕方ですが、「本件目的に直接従事している」といった限定の仕方もあります。

 また、受領当事者の義務として、開示先の役職員による秘密情報の漏洩や目的外使用を防ぐため、受領当事者が当該従業員等に対しても秘密保持義務を課す、という定めも非常に多く見られます。

 また、上のサンプルのように、開示範囲を必要な範囲に限定するという点を注意的に定めることもあります。

条項のポイント2~専門家への開示

 役職員への開示に加えて、弁護士や公認会計士などの外部専門家への開示が必要な場合がありますので、サンプルのような定めを置くこともあります。ただし、この規定がなくても、一般的には、法律上当然に守秘義務がある専門家への開示は社会通念上許されていると考えられています。

条項のポイント3~法令で義務づけられた開示

 裁判所などの公権力からの命令がある場合、法令上の義務がある場合など、開示を許される場合として規定することは実務上珍しくありません。これによって、受領当事者が、開示当事者に対する契約上の義務と、行政機関や司法機関等に対する法令上の義務の間で非常に難しい判断を強いられる事態を避けることができます。

 また上のサンプルでは、証券取引所への開示が義務づけられる場合も、例外に含めています。

 また、上のサンプルのように、受領当事者が法令上の義務に基づき開示する場合も、開示当事者が自社の秘密情報を守るための手段を講じる機会を与えることや、受領当事者に対して最小限の範囲での開示を義務付ける規定を定めるといった手当も検討する必要があります。

複製等の制限

規定例

Article ** (Prohibition on Unauthorized Reproduction)
1 The Receiving Party shall not, without prior consent of the Disclosing Party, (i) copy or reproduce the Confidential Information except only as necessary in furtherance of the Purpose, nor (ii) alter nor modify the Confidential Information.
2 The Receiving Party shall not use the Confidential Information in any manner to the Disclosing Party’s detriment, including but not limited to, to reverse engineer, or disassemble the Confidential Information.

第*条(複製等)
1 受領当事者は、開示当事者の事前の承諾なく、(i)本目的の推進に必要な範囲に限って行う場合を除き、秘密情報を複製してはならず、また、(ii)秘密情報を変更若しくは修正してはならない。
2 受領当事者は、方法を問わず、開示当事者に損害をもたらすような態様で、秘密情報を使用しない。ここには、秘密情報のリバースエンジニアリング又は分解を含む(これらに限られない)。

条項のポイント1~複製の取扱

 まず、秘密情報の複製の可否や条件について規定します。これについては種々の定め方ができます。事前の承諾がない場合には複製は認めないという厳しい扱いもできますし、他方、サンプルのように、本目的の遂行に必要な範囲であれば複製を認めるという考えもあります。

 ここは、開示される秘密情報の秘匿性、流出の場合の損害の程度、秘密情報の存在形式、その他一切の事情から判断すべき問題です。

条項のポイント2~複製以外の改変等に対する規制

 秘密情報の複製に加えて、一定の行為を制限する規定を設けることは実務上少なくありません。例えば、秘密情報の改変や修正を許すか否か(許すとしても目的や用途などでの制限が必要かと思います)を検討します。また、秘密情報が、製品サンプルとして提供される場合、プログラムとして提供される場合などを想定し、リバースエンジニアリングを禁止するという規定も検討します。

秘密情報の返還等の定め

規定例

Article ** (Return and Destruction of Confidential Information)
Upon the the completion or termination of the Purpose or the termination of this Agreement, whichever is earlier, or at such time as the Disclosing Party so request, the Receiving Party shall return to the Disclosing Party, or destroy, erase or delete the Confidential Information and/or any of its copies or reproductions. Upon the written request of the Disclosing Party, the Receiving Party shall certify in writing such destruction.

第*条(秘密情報の返還等)
受領当事者は、本目的の完了・終了の時点若しくは本契約の終了の時点のうちいずれか早い時点で、又は開示当事者が要請した時点で、秘密情報及びその複製物を開示当事者に返還し、又は破棄、削除若しくは消去する。開示当事者の書面による要請がある場合、受領当事者は、書面で当該破棄を証明するものとする。

条項のポイント1~秘密情報の返還・破棄の規定

 秘密保持を徹底する趣旨から、開示目的が完了したときなど、受領当事者に対し、秘密情報を開示当事者に返還するか、破棄する義務を課す規定が定められることは実務上非常に多いといえます。

 また、返還や破棄については、秘密情報の複製物も網羅するほか、更に慎重に規定する場合、秘密情報が記録された媒体についても含めることがしばしばです。

条項のポイント2~廃棄の規定の定め方

 また、秘密情報の廃棄については、受領当事者に対して、廃棄した旨の証明書の提出を義務付ける規定が設けられるケースも少なくありません。

 そして、この廃棄証明書については、開示当事者が求めていもいないのに提出する義務を課す必要はありませんので、上のサンプルのように、「開示当事者の書面による要請がある場合」(”upon the written request of the Disclosing Party”)というといった定め方をすることが多いといえます。

 さらには、廃棄や消去については、慎重に規定するなら、「再生不能な形で廃棄・消去」と書く場合もあります。この義務を履行するためには、紙媒体を例に取れば、単にゴミ箱に捨てるのでは十分ではなく、溶解処理や、再生不能なシュレッダーといった形での廃棄が義務づけられることになります。

非保証

規定例

Article ** (No Warranty)
1. Both parties acknowledge that any of the Confidential Information is disclosed on an “as is” basis without any warranty, express or implied, including, but not limited to, accuracy, completeness or non-infringement.
2. The Disclosing Party shall have no liability to the Receiving Party resulting from the Receiving Party’s use of the Confidential Information.

第*条(非保証)
1 両当事者は、秘密情報の開示が、「現状有姿」でなされ、明示か黙示かをとわず、正確性、完全性又は権利非侵害を含め、何らの保証もないことを認める。
2 開示当事者は、受領当事者による秘密情報の使用から生じる事柄につき、いかなる責任も負わない。

条項のポイント~非保証

 秘密情報の開示の際に、開示される秘密情報について一切保証をしない、という点を定めることが実務上少なくありません。

 それは、秘密情報自体、当事者間の契約締結前の協議の段階で交わされることが多く、こうした段階で開示される情報について、正確性や権利の非侵害について厳しい保証を求めるならば、秘密情報の開示がしにくくなり(萎縮的な効果が生じ)、かえってビジネスの発展が阻害されるからではないかと考えます。

 むしろ事業者同士の交渉や協議であれば、正確性等については提供を受けた側もこれを吟味して取捨選択する機会と能力があることから、自由に相互に秘密情報を取り交わすことのほうがメリットがある、という発想があるのではないかと考えられます。

権利の非移転・非許諾

規定例

Article ** (Intellectual Property)
The Receiving Party will not obtain no intellectually property rights of any kind as to any Confidential Information as a result of a disclosure to it under this Agreement. This Agreement will not effect the assignment or transfer of, or grant of license under, any intellectual property rights in the Confidential Information.

第*条(知的財産)
 受領当事者は、本契約に基づき秘密情報の開示を受けた結果として、当該秘密情報に関するいかなる知的財産権も得ることはない。本契約によって、秘密情報にかかる知的財産権につき、譲渡若しくは移転、又はライセンスという効果が生じることはない。

条項のポイント~開示情報の知的財産権の保護

 秘密情報には、技術ノウハウといった知的財産が含まれることがあります。そこで、こうした知的財産の保護の目的から、念のための注意規定として、秘密情報の開示が、権利移転やライセンスという効果をもたらすことはない、という点を定めることが実務上少なくありません。

取引開始等の義務の不存在

規定例

Article ** (No Obligation)
1. Neither Party has any obligation to disclose the Confidential Information to the other.
2. Nothing in this Agreement shall obligate either Party to proceed with any contemplated transaction between them, and each party reserves the right, in its sole discretion, with or without cause, to terminate the discussions contemplated hereby.

第*条(義務の不存在)
1 いずれの当事者も、他方当事者に対し、秘密情報を開示する義務を負わない。
2 いずれの当事者も、両当事者間の考慮中の取引を進める義務は負わず、本契約のどの規定もそうした義務を定めたものではない。また、いずれの当事者も、自己の完全な裁量で、かつ理由の有無を問わず、本契約において考慮している協議を終了させる権利を留保する。

条項のポイント~義務の不存在

 何らかの取引に向けて、両当事者間で相互に秘密情報を交わし、協議が進むものの、一方当事者が、諸事情によってその取引は開始しないと決定し、協議を中止することはありうるものです。

 しかしこの場合、取引の開始に期待を抱いていた他方当事者が、相手方の言動などを引合いに、取引を開始する義務があったといった主張をしてくる可能性があります。

 そのため、NDAの条項の一つとして、NDAの趣旨が、開示された秘密情報の保護に必要な義務を定めたものであって、それ以外に、特定の情報を開示する義務や、特定の取引を開始する義務を定めたものではない、という点を注意的に規定することがあります。

損害賠償・救済手段

規定例

Article ** (Compensation for Damages and Other Remedies)
1 In the event that either Party breaches this Agreement, such Party shall be liable for damages (including, but not limited to, attorneys’ fees and expense) incurred by the other Party as a result of such breach.
2 In the event that the Receiving Party breaches this Agreement or any unauthorized disclosure, leakage or use of the Confidential Information occurs, the Disclosing Party may seek an injunction or provisional injunction to suspend or prevent such unauthorized disclosure, leakage or use, and/or may demand measures be taken to restore the confidentiality of the Confidential Information. The Receiving Party agrees that no bond or other security will be required in obtaining such injunction or provisional injunction.

第*条(損害賠償及び他の救済手段)
1 いずれかの当事者が本契約に違反した場合、相手方に対し、当該違反の結果相手にが受けた損害(ここには弁護士費用が含まれるがこれに限らない)を賠償する責任を負う。
2 いずれかの当事者が本契約に違反した場合、又は秘密情報について、権限のない開示、漏洩若しくは使用がなされたとき、開示当事者は、当該開示、漏洩若しくは使用を停止若しくは防止するための差止命令若しくは仮処分を求めることができ、又は当該秘密情報の秘密性を回復するための措置を講じるよう求めることができるほか、これらの両方を求めることもできる。受領当事者は、当該差止命令又は仮処分を得るにあたり、担保や保証を要さないことに同意する。

条項のポイント1~損害賠償の規定

 秘密保持義務に違反した場合の効果としての損害賠償義務について規定することが、実務上多く見られます。もっとも、民法第415条が「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」と定めるとおり、契約の違反があれば、契約書に規定がなくても、損害賠償責任という効果は生じます。

 他方、契約書に書かないと生じない効果もあります。例えば、上の例でいえば、弁護士費用をあえて賠償の対象に入れていますが、これがないと、通常は弁護士費用を相手方に請求することはできません。

条項のポイント2~差止命令等の規定など

 金銭賠償のほかに取りうる法的な手段を定めることもあります。サンプルでは、差止命令や、秘密性の回復のための措置を講じることを請求できるという旨を規定しています。

 また、サンプルの2項の後半には、「当該差止命令又は仮処分を得るにあたり、担保や保証を要さない」と規定しています。

 この点例えば、日本法でいうと、「仮処分」(訴訟よりも迅速な手続きで得られる仮の措置)を得るためには、保証金を供託する必要がありますが、ケースによってはそれが高額となり、これがネックとなる場合があります。

 この点、上のサンプルのような規定が、どこまで実効性があるかという問題が生じる可能性はありますが、秘密情報の迅速な保護の観点から、上のように、「担保を要さない」旨の規定は、含めておくことを検討できる規定です。

契約期間と秘密保持の期間

規定例

Article ** (Term)
1 This Agreement shall be effective for a period of one (1) year from the Effective Date. The term of this Agreement shall be automatically extended for a period of one (1) year unless otherwise given written notice by either Party one (1) month prior to the expiry of the initial term or any extended term.
2 The obligations set forth in Articles **, ** and ** shall survive for three (3) years after expiration or termination of this Agreement.

第*条(有効期間)
1 本契約の有効期間は、発効日より1年間とする。ただし、期間満了の1か月前までにいずれかの当事者から通知があった場合を除き、本契約はさらに1年間延長され、以後も同様とする。
2 本契約が期間し、又は解除された後も、第**条、第**条、及び第**条に定める義務は3年間存続する。

条項のポイント1~秘密保持期間の設定

 秘密保持義務を負う期間を定めます。これは、契約期間とは別に考えるべきものであり、契約が終了しても、その後、少なくとも一定期間、秘密保持義務が存続する期間を設定することが通常です。

 どの程度の期間にするかを決めるには、開示する情報の重要性や陳腐化速度、管理の手間などの要素を考えます。

 秘密情報が重要であり、秘密が保たれている限り陳腐化しないようなノウハウなどであれば、公知化などの秘密情報の例外に該当するに至らない限り期間無制限で秘密保持義務を負うという規定も考えられます。

条項のポイント2~存続規定の選定

 契約期間後に存続すべき条項を選定します。実務上多く選択されるのは、秘密保持義務、契約終了時の返還規定、損害賠償規定、合意管轄規定、譲渡禁止規定、権利の非移転・非許諾の規定などです。

秘密保持契約における一般条項

 以上のほか、秘密保持契約においても、英文契約で定められることの多い一般条項を設けることが少なくありません。

 一般条項の例を挙げると以下のとおりです。詳細は、各項目のリンク先のページをご覧ください(別ウィンドウ又は別のタブで開きます)。

 


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