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契約・取引に関する検討事項~M&A 法務デューデリジェンス

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本ページの内容

 法務デュー・ディリジェンスにおいて実務上調査すべき項目と問題となりうる点は多岐に及びます。本ページでは、中小企業の株式譲渡を前提に、重要な契約や取引に関する調査についてのアウトラインを解説し、どんなリスクがあるか、そして売手・買手としてどんな対応が可能かを簡単に解説します。

 本サイトで紹介する内容は、例示であって、すべての問題点を網羅するものではありません。

調査の目的

現に事業を営む会社であれば、様々な契約を締結し、それらの契約に基づき事業活動を行うことはごく当然といえます。そして、これらの契約内容から、対象会社の事業に関する法律上のリスクと程度を読み取ることができるため、契約内容の検討は重要といえます。

具体的には、契約に関する法務デュー・ディリジェンスとして主に以下の視点が重視されます。

  • M&A取引実行後も、対象会社の事業に必要かつ重要な契約が存続するか
  • M&A取引実行後、買手が実施する事業を妨げる契約がないか
  • 対象企業が不当又は隠れた債務・義務・リスクを負っている契約、違法又は社内規則に反する内容の契約はないか

 以下、取引と契約に関し法務デュー・ディリジェンス上問題となりうる点をいくつか検討していきます。

問題となりうる条項の検討と対応

 以下、法務デュー・ディリジェンスにおいて、契約書の中でどんな条項が主に検討され、どんな問題点が生じうるか、また、これに対する売手の対応を検討します。

対象企業が負う義務

 対象企業が契約においてどんな義務を負っているかが検討されます。特に、業界での標準的な契約や商慣行等に比較して不当な義務がないか、特殊な内容の義務がないか等が検討されます。

 また、M&A取引後に行うことを検討している事業計画の面で制約となるような義務がないか、といった視点も重要となることがあります。

 例えば、契約において、競業禁止条項が課されている場合があります。競業禁止条項とは、対象企業に対し、一定期間、一定地域内で、ある特定の競業活動を禁止する条項です。また、対象企業が、事業活動に必要な特定の原材料を、特定の相手方からのみ購入する義務が規定されている場合もあります。

 以上のような条項は、買手としては、M&A取引実行後に対象企業を利用した事業活動をするに際して制約となり、M&A取引の効果が殺がれることとなる場合もあるため、特に注意が必要です。

 こうした場合、売手としては、M&A取引前に、このような制約を取り除くよう契約の相手方と交渉を試みるなどができるかもしれませんが、実際問題としては難しい場合が多いでしょう。このような特別な条項は、特に必要があるからこそ定められたものだからです。それで、これらの制限が買手の事業計画に与える影響については、M&A取引条件(売却価格)において調整することで対応することがあります。

債務不履行事由

 契約上、どのような債務不履行事由があるのかを確認します。そして、対象企業が債務不履行に問われる事由や責任の内容が、取引慣行や民法等の法令に照らして不当に過大ではないか、不合理な内容であるか等を検討します。

 他方、契約の相手方を債務不履行に問える事由や不履行の場合の責任内容が、不当なほど過少に制限されていないかといった点や、賠償額に上限額が設定されていないか等の観点でも検討します。

 以上の検討から、不合理な債務不履行事由や債務不履行責任が認められ、かつ、これが対象企業の事業において重大な影響を与えうるような場合には、このリスクがM&A取引の進行の有無や取引条件に影響を及ぼします。

 また、対象企業または契約の相手方において発生している債務不履行の事実がある場合、その内容について、一覧表にしたリスト等を売手に求めるということもあります。

契約解除・中途解約条項・契約期間

 対象企業にとって事業場重要な契約について、将来の契約解除の可能性がどの程度あるかを検討します。また、契約期間の条項も検討します。

 例えば、対象企業の事業継続上不可欠な継続的取引契約であれば、残りの契約期間の長さ、更新手続の有無が重要となります。また、売手へのインタビュー等から、更新されないリスクがどの程度あるのかも検討します。

 また、対象企業の事業継続上不可欠な契約において、対象企業の不履行の有無にかかわらず契約相手が行使できる、一方的な中途解約権がないかといった点も検討します。これらの事由がある場合は、この契約の存続は不安定であり、対象会社の事業がこの契約に大きく依存する場合にはそれだけリスクにつながるからです。

 上のような場合、売手としては、これらの不安定要因となる条項の変更を契約の相手方に求める交渉をするのも一つの方法です。それは、中途解約権などが、特に強い意味がなく定められることもあるためです。

 また取引慣行として、中途解約権が行使されることがほとんどないことが事実であれば、売手としては、買手に対し適正にこれを説明し、適正なリスクの評価を売却価格に反映させるよう交渉することも考えられます。また、M&A取引実行後、対象会社が予期しない中途解約権の行使を受けて買手が被る損害について、M&A契約に、売手が補償する条項を含めることも検討できます。

“Change of Control”条項

 契約の中に、いわゆる“Change of Control”の条項(支配権移転の場合の契約解除権)が付されている場合があります。

 つまり、契約当事者自身の法人格が変わらなくとも、契約当事者の株主等の支配権に変更があったとき、相手方に契約解除権が発生するといった効果が発生する契約条項です。特に、ライセンス契約、代理店契約など、当事者間の信頼関係を基礎とした継続的取引契約などで、この条項が含まれているケースがよく見られます。

 そして、対象企業の事業にとって非常に重要な位置にある契約においてこの“Change of Contro1”条項が含められている場合、M&A取引の結果当該契約が解除されるなら、事業継続に甚大な支障が出ます。

 例えば、あるメーカーの総代理店としての売上が対象企業の売上において大きな割合を占めているとか、ある特許権を独占的にライセンスを受けており、この技術が収益の源泉になっているといった場合です。

 こうした場合、通常、売手に対して、M&A取引実行までに、このような重要な契約について、クロージングまでに相手方からの同意を取得することを要請し、M&A取引条件にこれを含める対応がなされることが少なくありません。

 また、これはデュー・ディリジェンスの段階以前問題ではありますが、売手としては、事業の売却を考え始めている場合で、かつ新しい重要な取引を始めるに当たっては、締結する契約書に“Change of Control”条項を含める(ことに同意するか)については、慎重に考える必要があります。

関連会社・子会社関連との取引の検討

 対象企業に子会社・関連会社がある場合にこれらの会社間での取引契約があるというケースがあります。また、対象企業と株主との間での取引が存在する場合もあります。

 このような取引を買手が調査した結果、対象企業の事業継続上は不要であったり、第三者との間の取引に比べ対象企業に不利な条件であると判断する場合があります。

 これらの場合、M&A取引に際し、このような不要な関係者間の取引を終了したり、または条件変更などを、M&A取引実行の条件として定めることがあります。


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