2012-02-23 共有物分割請求と成田空港一坪共有運動

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1 今回の判例 共有物分割請求と成田空港一坪共有運動

平成23年9月16日千葉地方裁判所判決

成田空港の設置管理のために設立された政府全額出資の会社であるA社が、空港建設予定地内に所在する土地(以下「本件土地」)について、共有持分を有する被告B氏らに対し、「共有物分割」を請求しました。

具体的には、A社が本件土地の単独所有者となり、B氏らに対してそれぞれ所定の賠償金を支払うという内容での共有持分移転登記手続を請求したものです。

 

2  裁判所の判断

 裁判所は、以下の理由から、A社の請求を認めました。

●本件土地の共有者は、A社及びB氏らの18名であるが、A社は、全体の約95.5パーセントの共有持分を有しているのに対し、B氏らは、全体の約4.5パーセントを有するにすぎない。共有持分に従って現物分割をしても、B氏らの共有持分の合計は15.266平方メートルにすぎず、本件土地の周囲はA社所有の成田空港用地に囲まれているから、B氏らが現物分割を受けたとしても、経済的・合理的な利用価値は乏しい。

●A社は、成田空港のC滑走路の整備及び同空港を利用する航空機の安全確保のために本件土地を必要としているところ、これらの目的のためには空港用地を一体として整備する必要性が高い。さらに、現物分割をすると、成田空港の用地内に、狭小で利用価値がないに等しい土地を現出させることとなる。

●したがって、上記諸事情を総合考慮すると、本件土地を共有者のうちA社に取得させるのが相当である。

 

3 解説

(1)共有物分割請求とは

 ある財産について、様々な理由で、複数の人(法人を含む)どうしの共有となっている場合があります。土地の共有は典型的な例でしょう。

この点、民法は、共有物分割請求という規定を置き、各共有者が、いつでも共有物の分割を請求することができると定めています(民法256条1項本文)。

(2)共有物分割の方法

判例等で認められている共有物の分割の方法には、以下のようなものがあります。そして、共有物分割請求の特徴は、共有者間で分割の方法について話がまとまらない場合、裁判所が、裁判によって、共有物の分割をするという点にあります。

 ■ 現物分割

例えば、2名の共有になっている東西に長い土地を、東半分と西半分に分筆して、それぞれの単有とする方法です。

 ■ 価格賠償

例えば、1台の工作機械を2社で共有しているとした場合、物理的に切って2つに分けることは現実的ではありません。

それで、いずれか一方の単独所有とし、他方には、その持分に合った金銭等の財産的補償をする方法が価格賠償です。

 ■ 代金分割

  これは、当該共有物を売却し、その代金を持分に応じて分割する方法です。

(3)ビジネス上の留意点

共有財産は、共有者の一人が独占的に使うことができませんし、また単独で処分もできないため、色々と不便なものです。また、共有財産(例えば土地)を融資の担保とすることも、共有者の同意がないと難しい場合もあるでしょう。

そのため、会社が持っている資産で共有になっているために、実質的に使えずに遊休資産となってしまっているものがあるかもしれません。こういう時に、この共有物分割請求の活用が考えられるかもしれません。これによって、共有物を実際に活用したり、そうでなくとも資金調達のために使用・処分するなどの道が見いだせるようになるかもしれません。

それで、上のような分割の方法も含め、こんな制度もあるといった程度に、この「共有物分割」について、頭に入れておくことはマイナスではないでしょう。



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