2011-02-04 ソフトウェアの改変と損害賠償

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事案の概要

東京地方裁判所平成19年3月16日判決

事案は次のとおりです。

フランスのソフトウェアメーカーA社は,製品設計や開発を最 適化するための三次元作図に関するソフトウェアを開発,販売 していました。

他方,デザインモデル等の製作会社B社は,自動車産業,電気 産業,情報産業等の様々な業種の企業にデザインモックアップ 試作品を製作,提供している会社でした。

本件で問題となったのは,A社のデジタルモックアップソフト ウエア(以下「本件ソフトウェア」といいます。)でしたが, このソフトウェアは,多くのモジュールを収載しており,これ らモジュールの使用については、モジュールごとに,A社から 個別にライセンスを受ける必要がありました。

ところが,B社は,このライセンスを管理するプログラム部分 ( dllファイル)を改変し,ライセンスを受けていない部分の モジュールについても使用可能とすることで,ライセンスを受 けずに,11台のコンピュータで,同時に,本件ソフトウェア を使っていました。

判決の概要

上記のように,本件ソフトウェア中の Dllファイルについての 改変行為により,11台の各コンピュータですべてのモジュー ルを使用でき,かつ,本件ソフトウェアを同時に使用できるよ うになったものであるから,B社の行為は,本件ソフトウェア 全体に対する著作権(翻案権)侵害に当たる。

B社の行為によるA社の損害額は,11台につき使用可能となっ た本件ソフトウェア全体の使用許諾料相当額を算定し,それか ら実際の支払額を控除して算定すべきである。

以上から,裁判所は,B社に対し,15億8911万2875 円の損害賠償の支払を命じました。

解説

判決によれば,B社は,本件ソフトウェアについては,初回ラ イセンス契約時に請求する基本ライセンス料4611万020 0円と,基本ライセンス料の約14%である年間ライセンス料 (647万8300円)をA社に支払っていました。ところが, B社は,この不正使用によって,約16億円という,非常に高 額な損害賠償を行なうことになったわけです。

本件は,法律的には著作権(翻案権)侵害であるという判断に ついては,大きな法律上の論点もなく,さほど問題があるケー スではないと思われます。

B社は,「著作権法114条3項による損害額は,現実に使用 したモジュールのみについて算定すべきである,また,B社が エンドユーザとして支払うべき金額(小売り価格)ではなく, A社が受けるべき金額(卸売価格)で算定されるべきであると 主張しましたが,いずれも裁判所はあっさりと退けました。

本件は,高額な損害賠償が認められた例として,ソフトウェア を業務に使用する多くの企業にとって身が引き締まる事例とな ると思い,ご紹介しました。



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