2020-10-12  「AI介護」商標と識別力

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今回の判例「AI介護」商標と識別力

知財高裁令和2年3月25日判決

 A社が、「AI介護」(標準文字 )という商標を、介護などを指定役務として商標の出願をしました。

 ところが、特許庁が、同商標につき、役務(サービス)の質を普通に表示するに過ぎないとして、商標法3条1項3号により拒絶の審判をしたため、A社が、当該審決の取消を求め、訴訟を提起しました。

裁判所の判断

 裁判所は、以下のとおり判断し、特許庁の判断を認めました。

・ 「AI」は、「人工授精」「空中迎撃機」「アムネステイインターナショナル」「鳥インフルエンザ」等の略語であることが認められるが、多数のウェブサイトや新聞には、「AI介護」に関連して、「AI介護ソフト」、「AI介護事業」、「AI介護 ロボット」などが使用され、「AI介護」からはAIを活用した介護という意味が認められる。

・ 介護の分野では、「AI」が人工知能以外の意味で使用されている例がないことなどから、本願商標「AI介護」からは、AIを活用した介護という意味合いが生ずる。

・ よって、本願商標は、「介護」という役務(サービス)の質(内容)を表示するものとして一般に認識されるものであり、識別力を欠く。

解説

(1)商標法3条1項3号の趣旨

 商標法3条1項3号は、簡単にいえば、商品やサービスの内容や品質などを普通の方法で記述する商標、原則として商標登録を受けることができない、とされています。こうした商標のことを「記述的商標」といいます。

 例えば、包丁という商品で「切れ味」という商標の登録が認められると、包丁を製造販売する他社は「切れ味」という言葉が使えなくなってしまいますが、それは不都合です。また、ウナギについて「浜松産」という商標が登録されてしまうと、他の事業者は、「浜松産」と表示できなくなってしまいます。

 こうした言葉は特定人が独占することは適切ではない、というのが商標法の基本的な考え方です。

 また、商品の質、内容や産地などは、取引上普通に使用されます。それでこうした言葉を商標として使用しても、商品の出所を見分けたり、他の商品と区別したりする「印」としては機能しません。つまり商標として機能しないということです。この点も、記述的商標が登録できない別の理由です。

(2)ビジネス上の留意点

 とはいえ、特定の性能に大きな特徴がある商品、サービスの提供の仕方に非常に特色があるサービス、今までにない画期的な機能や性能を備えた商品であれば、こうした性能、機能、特色をアピールしたいと考えるのは当然です。そして、その商品の特徴・種類・内容を商品名に取り入れたいと考えるのも事実です。

 この点で留意できるのは、商標法3条1項3号の制限を受ける商標は、「普通に用いられる方法」で表示する標章「のみからなる」商標です。言い換えれば、表示の方法が「普通に用いられる」ものでなければ、または他の要素が加われば、登録を受ける余地が出てくるということです。

 例えば過去の例でいうと、以下のような事例があります。

「迫力満点」(登録第4697915号)

  指定商品:カレー、シチュー又はスープのもと

審査段階では「ボリューム感のある」という意味で単に商品の品質を表示するにすぎないとされましたが、審判で争われた結果、品質は間接的な暗示であるとして、登録が認められました。

「おくだけ緑茶消臭」 (登録第5406097号)

  指定商品:緑茶消臭成分を有するクッション

審査段階では、単に商品の品質を表示するにすぎないとされましたが、審判では、「特定の意味合いを有しない一種の造語」であるという理由で、登録が認められました。

 以上のとおり、上手に商品の特徴をアピールできるようにしつつ、記述的商標という商標法の制限を克服できるような商標を考えてみることができるかもしれません。そしてその際には、弁理士や商標実務に詳しい弁護士のアドバイスも役立つことと思います。

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