2011-11-14 不正競争防止法の虚偽の事実の告知の責任

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事案の概要

東京地方裁判所平成19年12月26日判決

事案は次のとおりです。

生ゴミ処理機を製造,販売するX社が,同様に生ゴミ処理機を 製造,販売するYに対し訴訟を起こしました。

X社の主張は,Y社が,X社の製品に関する虚偽の事実を,Y 社の管理するウェブサイト上で表示し,また,X社やX社の製 品に関する虚偽の事実を記載した書面をX社の顧客に交付した, これは,X社の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布 であって,不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に当 たる,というものでした。

ちなみに,ウェブサイト上に表示した表示内容は,「この会社 は弊社製品,生ゴミ処理装置,Aの偽造品を製造販売し ています,ご注意をして頂きたい事を通知致します。」「この 会社は弊社製品,生ゴミ処理機Aを偽造し販売しています」というものでした。

そのため,X社は,Y社に対し,上記のような書面の交付の差 止,上記ウェブサイト上の表示の削除を求め,さらに,X社の 信用等を害されたことによる無形損害3000万円の支払を求 めました。

なお,本件については,代理店契約と競業禁止義務の効力とい う別のビジネス上の重要な論点もあります(もともとX社はY 社の代理店でした)が,これは別に取り上げたいと思います。

判決の概要

本件では,ウェブサイト上で掲載された内容(原告製品が偽造 品である旨)の虚偽事実性が問題となりましたが,虚偽である と判断されました。

しかし,ウェブサイトの掲載については,訴訟の途中で表示が 削除されていたため,差止の必要性が認められず,また,書面 の交付については,X社の主張そのものが認められませんでし た。それで,差止請求については認められませんでした。

他方,X社の信用の毀損については,100万円の損害額が認 定されました。この根拠ははっきりませんが,ウェブサイト上 の「表示の記載内容及び掲載期間(上記・・のとおり1年余で あると認められる。)等の事情」からとされました。

解説

不正競争防止法2条1項14号は,競争関係にある他人の信用を毀 損する行為を不正競争行為としています。

具体的な要件は以下のとおりです。

1 争いとなっている両者間に競争関係にあること
2 ある事実について告知又は流布行為があること
3 2の事実が虚偽であること
4 2の告知又は流布が他人の営業上の信用を害すること

したがって,例えば,ライバル会社,競争相手の取引先に対して,当該競争相手の商品についてネガティブなことを告げたり, ホームページ上で告知する場合は,十分な注意が必要です。例えば,よくある例としては,自社で特許権を持っており自社製品を製造しているとして,競争相手がその特許権を侵害した製 品を製造又は販売しているように思える場合があります。

この場合,競争相手の取引先に対し,競争相手の製品が自社の 特許権を侵害しているといったことを文書で告知したり,ホー ムページ上に掲載して告知したりした後,結果的に,裁判で特 許権の侵害が否定されたり,又はその特許権が無効となった場 合,場合によっては,この「特許権の侵害」という告知が不正 競争行為として責任を問われる可能性があります。

そして,不正競争行為が認められた場合,不正競争行為を行なっ た者に対しては,
差止請求
信用回復請求(謝罪広告とか,取引先に対して謝罪文を発送さ  せるなどの方法)
損害賠償請求

などの厳しい措置が認められることがあります。

したがって,競争相手に直接ではなく,競争行為の取引先へ何 かを告知する場合などは,事前に必ず弁護士の助言を得ること は自社を守る重要なプロセスではないかと思います。



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