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後遺障害解説~鼻の後遺障害 

 
このページでは、交通事故の被害によって残ってしまう場合のある後遺障害のうち、鼻に関する後遺障害の内容・留意点について、ポイントを絞って解説します。

 
鼻の障害としては、鼻の欠損と鼻の機能(嗅覚等)の障害があります。以下、各障害の内容と認定基準について解説します。

鼻の欠損と後遺障害等級認定

鼻の欠損についての等級

 自賠責の基準では「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの」については、第9級5号として認定されます。ここで、「鼻の欠損」とは、鼻軟骨部の全部、または大部分を欠損することをいいます。

 鼻を構成する骨は、上部は頭蓋骨にある鼻骨ですが、下半分の大部分は軟骨ですので、この鼻の下半分にかかる軟骨の全部か大部分を失ってしまった場合をいうわけです。

 また、「機能に著しい障害を残す」とは、鼻呼吸困難や、嗅覚脱失(臭いがまったく分からない状態)をいいます。

鼻の欠損と外貌醜状との関係

 鼻の欠損については、鼻の障害とは別の、「外貌の醜状障害」に該当する可能性が あります。すなわち、上記でいう「鼻の欠損」に該当する、鼻軟骨部の全部または大 部分を欠損した場合は「外貌の著しい醜状障害」に該当するため、7級12号が認定されます。

 また、「外貌の著しい醜状障害」の7級には該当しない欠損であっても、鼻以外の顔面の瘢痕等も併せて考慮し、「外貌の単なる醜状」に該当する場合は12級14号 が、「外貌の相当程度の醜状」に該当する場合は9級16号が認定されます。

 そして、上記でいう「鼻の欠損」に該当し、その機能に著しい障害を残す場合、鼻の障害にかかる認定(9級5号)と、外貌の著しい醜状障害にかかる認定(7級12号) のどちらが適用されるのでしょうか。

 この点について、労災認定基準では、「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残す場合は、鼻の障害としては第9級の 5に該当するが、一方、外貌の醜状障害として第7級の12に該当するので、この場 合は、第7級の12に認定する。」と説明されています。労災基準に準じている 自賠責保険においても、これと同様に判断されると考えられます。

 そのため、事実上、「鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの」の基準は、適 用される場面は少ないかもしれません。(事故の被害者が、臭気鑑定士のお仕事をさ れている場合などは、逸失利益にかかる交渉に含める場合があるかもしれません。)

鼻の欠損がない場合の後遺障害

 鼻の欠損を伴わない機能障害については、労災保険での準用基準に準じ、以下の認定 を受けることになります。

[1] 12級相当

完全な嗅覚脱失、又は鼻呼吸困難が該当します。

[2] 14級相当

 嗅覚の減退の場合です。

ご注意事項

本ページの内容は、執筆時点で有効な法令・法解釈・基準に基づいており、執筆後の法改正その他の事情の変化に対応していないことがありますので、くれぐれもご注意ください。

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