2019-10-15 立体商標と商品形態の保護の可能性

ここでは、弊所発行のメールマガジン「ビジネスに直結する判例・法律・知的財産情報」のバックナンバーを掲載しています。同メルマガでは、比較的最近の判例の紹介を通じ、ビジネスに直結する法律知識と実務上の指針を提供します。

学術的・難解な判例の評論は極力避け、分かりやすさと実践性に主眼を置いています。経営者、企業の法務担当者、知財担当者、管理部署の社員が知っておくべき知的財産とビジネスに必要な法律知識を少しずつ吸収することができます。メルマガの購読(購読料無料)は、以下のフォームから行えます。

登録メールアドレス    

なお、このトピックは、メールマガジン発行日現在での原稿をほぼそのまま掲載しており、その後の上級審での判断の変更、法令の改正等、または学説の変動等に対応していない場合があります。

以下の検索ボックスを利用して、トピックページ(メルマガバックナンバー)から検索できます。

今回の事例 立体商標と商品形態の保護の可能性

東京地裁平成30年12月27日判決

 A社は、ランプシェードを指定商品とする立体商標権を有しています。

 A社はB社に対し、B社の商品の販売が商標権侵害に当たると主張して、販売の差止と損害賠償請求などをしました。

 なお、A社の立体商標(左)とB社の商品(右)の各画像は、以下のとおりです(いずれも裁判所ウェブサイトより引用)。

 

裁判所の判断

 裁判所は以下のように判断し、A社の請求を認めました。

・ A社の商標とB社の商品はランプシェードの直径の比について若干の相違があるものの、全体を見た際に判別し得る相違点とはいえず、外観は同一であると認められ、商品の出所を誤認混同するおそれがないとはいえない。

・ B社は、B社商品を販売するに当たり、A社商品が正規品であることやB社商品がリジェネリック・リプロダクト品であることを強調し、A社商品に比べて低価格で販売していたと主張するが、だからといって出所の混同を生ずるおそれがないとはいえない。

解説

(1)商品形態の保護を図る法律上の制度

 メーカーとしては、自社が苦労してデザインしたり開発した商品を他社が模倣することを防止したいと考えるのは無理もありません。

 本稿では、商品形態を法的に保護する制度を概観したいと思います。現行法で活用できる可能性のあるのは、主に以下のものです。

 (a)意匠権(意匠法)
 (b)立体商標(商標法)
 (c)商品形態模倣(不正競争防止法2条1項3号)
 (d)周知商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)
 (e)著作権(著作権法)

 以下、各制度の概要とメリット・デメリットを簡単に見ていたいと思います。

(2)意匠権(意匠法)

 意匠権の登録は、商品形態の保護としては効果的な方法です。意匠権として登録を受ければ、設定日から20年間、そのデザインを独占でき、他社による同一又は類似の形態の商品の販売を差し止めることができます。

 ただし、意匠登録を受けるためには、出願の時点で同一・類似の意匠が存在しないこと(新規性)や、既存の意匠と比較して創作性が低いとはいえないこと(創作非容易性)などの要件が必要です。

 それで、ある商品を販売してしまった後は、原則として意匠登録を受けられないといったデメリットがあります。

 それで、「とりあえず販売してみてよく売れるなら意匠登録する」といった方法は使えません。しかし、今後主力商品となる計画の商品であるとか、目新しいデザインの商品であるとか、商品寿命が長い商品として見込まれる商品などは、意匠登録を検討してもよいかもしれません。

(3)立体商標(商標法)

 今回の事例にように商品の形態を、「立体商標」として商標登録を受けるという選択肢もあります。例えば、コカ・コーラのボトルや、ペコちゃん人形、ヤクルトの容器などは立体商標として登録を受けています。

 商標権の場合、意匠権とは異なって10年ごとに更新が可能で更新さえすれば半永久的に登録が維持されますので、長期間にわたり、商品形態を保護できることになります。

 ただし、立体商標の登録には、高いハードルがあります。商標法が保護するのは、典型的には商品名やロゴなどの商品の「印」が持つ信用です。したがって、あるい立体形状が「商標」として登録されるためには、その形状が、形を見ただけで「あの会社・ブランドの、あの商品だ」と多くの消費者が識別できる目印として機能する必要があります。

 それで、商品形状については、形状自体から立体商標として登録できるほどの識別力が認められる場合は少なく、長期にわたる使用実績が問われることが少なくありません。

(4)商品形態模倣(不正競争防止法2条1項3号)

 ある商品の形態の販売日から3年間は、これをほぼそっくりそのまま模倣したような他社の製品の販売を差し止めることができる権利が定められています。

 この権利行使のためには、意匠や商標などの登録の必要がないという点はメリットですが、他社の製品は単に類似するだけでは足りず、実質的に見て同一といえるほど酷似した商品ではないと権利行使できないという点がデメリットといえます。

(5)最後に

 長くなりすぎますので、本稿では、(d)周知商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)と(e)著作権(著作権法)については省略します。

 いずれにせよ、どの制度も「決め手」はありませんので、各制度のメリットとデメリットを踏まえつつ、自社の商品の性質やデザインの重要性を踏まえて適切な戦略を取ることができると思います。

弊所ウェブサイト紹介~商標法 ポイント解説

弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企
業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

例えば本稿のテーマに関連した商標法については

  http://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/shouhyou/index/

において解説しています。必要に応じてぜひご活用ください。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイト
において解説に加えることを希望される項目がありましたら、メー
ルでご一報くだされば幸いです。



メルマガ購読申込はこちらから

弊所発行のメールマガジン「ビジネスに直結する判例・法律・知的財産情報」は、以下のフォームから行えます。

登録メールアドレス    

 なお、入力されたメールアドレスについては厳格に管理し、メルマガ配信以外の目的では使用しません。安心して購読申込ください。



法律相談等のご案内


弊所へのご相談・弊所の事務所情報等については以下をご覧ください。



Copyright(c) 2019 弁護士法人クラフトマン IT・技術・特許・商標に強い法律事務所(東京丸の内・横浜)  All Rights Reserved.