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7.1 意匠権の概要・意匠法上の「意匠」とは

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意匠と意匠権の概要

意匠制度の概要

 商品の意匠、すなわちデザインは、商品の大きな魅力の一つです。そのため、優れたデザインは、市場における商品の競争力を高めるものとなります。

 他方で、商品の意匠は目に見えるゆえに、模倣されやすいものでもあります。

 そこで意匠法によって定められた意匠制度においては、新しく創作された意匠(デザイン)について、一定期間独占的に使用できる権利を付与し、意匠の創作を奨励して産業の発達に寄与することを目的としています。

意匠法の保護対象たる「意匠」の概要

 意匠法の保護対象となる「意匠」とは、視覚を通じて美感を起こさせるものであって、以下のものをいいます(意匠法2条1項[カーソルを載せて条文表示])。

  • 物品の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合
  • 建築物の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合
  • 特定の画像

意匠登録の要件の概要

 意匠登録の要件は多くありますが、主なものを列挙すると以下のとおりです。

  • 意匠法上の意匠といえること
  • 工業上利用できる意匠であること
  • 新規性があること
  • 創作の非容易性があること
  • 既に出願された意匠と同一、または類似していないこと
  • 「不登録事由」に該当しないこと
  • 一度の出願で、複数の意匠が表されていないこと

 以下、意匠法上の意匠の各要素についてご説明します。本ページでは、意匠法上の「意匠」には何が含まれるかをご説明します。

意匠法の保護対象

 以下、意匠法上保護の対象となる意匠のうち主なものについて解説します。

物品の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合

 これは従来から保護の対象となってきたものです。「物品」とは、「有体物のうち、 市場で流通する動産」であると考えられています。

 したがって、不動産(建築物を除く)は意匠の保護の対象とはなりません。また、光・電気・気体・液体といったものは「物品」としては認められないため、意匠法の保護の対象とはなりません。

 また、タイプフェイスのように、「物品」から離れたデザインそのものも、後述の画像に該当しない限りは保護の対象とはなりません(ただし後述のとおり一部の画像は「画像意匠」として対象となりました)。

建築物の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合

 これは令和2年4月1日施行の改正意匠法で保護の対象となりました。

 ここでいう「建築物」とは、「継続的に土地に固定して使用されるもの」をいい、建物のほか、土木構造物を含みます(意匠審査基準第Ⅳ部 第2章 6.1.1.1)。

 また、通常の使用状態において、内部の形状等が視認されるものについては、内部の形状等も含みます(前記審査基準)。

画像

 具体的には、以下の画像が意匠法上の意匠と判断されます。

画像意匠

 画像意匠とは、その画像を表示する物品や建築物を特定することなく、画像それ自体を意匠法による保護の客体とする意匠のことをいいます。そして、以下のいずれかに該当する画像が、画像意匠として保護されます。これは令和2年4月1日施行の改正意匠法で保護の対象となりました。

  • 機器の操作の用に供される画像
  • 機器がその機能を発揮した結果として表示される画像

以下は、特許法の意匠審査基準に掲載されている例です(第Ⅳ部 第1章3.1)。


物品等の部分に画像を含む意匠

物品に記録され、物品の表示部に示された画像です。以下のいずれかの画像を含むものが対象となります。

  • 物品の機能を発揮するための操作画像
  • 物品の機能にとって必要な表示画像

以下は、特許法の意匠審査基準に掲載されている例です(第Ⅳ部 第1章3.2.1)。


建築物の部分としての画像を含む意匠

これは令和2年4月1日施行の改正意匠法で保護の対象となりました。以下のいずれかの画像を含むものが対象となります。

  • 建築物の機能を発揮するための操作画像
  • 建築物の機能にとって必要な表示画像」

 


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