2021-02-24 取締役の解任と正当な理由

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今回の事例 取締役の解任と正当な理由

 東京地裁平成30年3月29日判決

 菓子製造等を営む会社A社の取締役を任期途中で解任されたB氏が、A社に対し、当該解任は正当な理由がないとして、役員報酬相当額と退職金相当額を損害賠償として請求しました。

 A社は、B氏を解任した正当な理由として、 小売業者との信頼関係を破壊するような、小売店舗の商品陳列棚を写真撮影し画像をデータ化して販売するという事業を企図して実行したこと、 当該事業の実施や追加投資を決定する取締役会における虚偽説明、などを主張しました。

 裁判所は、A社側が主張する事実を認め、これらの事実を総合すれば、B氏が取締役として著しく不適任であるとされてもやむを得ず、解任には正当な理由があると判断しました。

解説

 会社として、取締役に不正行為があったり、明らかな能力不足のため、次の任期満了まで待たず、不適格な取締役を辞めさせたい、という場合があるかもしれません。

 この点、取締役の解任そのものは、理由があってもなくてもよく、いつでも株主総会で解任することができます。

 ただし、ある取締役を正当な理由なく解任した場合には、会社は、解任によってその取締役に発生した損害を賠償しなければなりません。それで本件でも争われたのは、解任の効力の有無ではなく、解任に正当な理由があるか否かでした。

 また、解任に正当な理由がないと判断された場合の賠償金額は、基本的には残存任期中の役員報酬に相当する金額ですが、残任期が長期に及ぶ場合に、その一部の期間分の役員報酬のみを賠償として認めた裁判例もあります。

 なお、どんな場合に正当な理由が認められるかを一般化して述べることは困難です。以下のページに過去の裁判例の一部をご紹介していますので、ご参照ください。

https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/kaishahou/index/kainin/#i-17

弊所ウェブサイト紹介~会社法(会社法) ポイント解説

弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

例えば本稿のテーマに関連した会社法関連の情報については

https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/kaishahou/index/
において、取締役、取締役会といった役員をめぐる諸問題について実務的観点から解説しています。必要に応じてぜひご活用ください。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイトにおいて解説に加えることを希望される項目がありましたら、メールでご一報くだされば幸いです。



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