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2.2 拒絶理由通知・拒絶査定に対する不服申立手段

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 すべての商標出願が登録されるとは限らず、特許庁から「拒絶理由通知」などが届くことがあります。本稿では、こうした場合の対応について解説します。

拒絶理由通知とその対応

拒絶理由通知書とは

 拒絶理由通知書とは、以下の例のとおり、審査において、審査官が登録できないと考えた場合、その理由(拒絶理由)を出願人に書面で知らせることいいます(商標法15条の2)。

 商標登録出願をした後、拒絶理由通知が来たとしても驚く必要はありません。むしろ、拒絶理由をクリアして商標登録を得ることを目指すことになります。

 なお、拒絶理由通知があった場合、同通知発送日から40日という応答期間内に意見書又は手続補正書を特許庁に提出する必要があります。

 そして、この期間内に応答をしない場合には、特許庁から拒絶査定がなされますから、十分に注意が必要です。

発送番号 ××××××
発送日  平成××年××月××日

拒絶理由通知

商標登録出願の番号  平成××年商標登録願第××××××号
起案日        平成××年××月××日
特許庁審査官     津田 恒実
商標登録出願人代理人 高橋 慶彦 様

 この商標登録出願は、次の理由によって、拒絶をすべきものと認めます。
 これについて意見があれば、この書面発送の日から40日以内に意見書を提出してください。

理  由

 この商擦登録出願に係る商標は、下記の登録商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものですから、商標法第4条第1項第11号に該当します。


 区分    引用No
 第10類   1

 引用No   引用商標一覧
   1   登録第×××××××号

拒絶理由通知への対応1~意見書による対応

 拒絶理由通知への対応として、意見書を提出することがあります。例えば審査官が考える拒絶理由は妥当ではないと考える場合など、拒絶理由通知書に対して書面で意見を述べるものです。

拒絶理由通知への対応2~補正書による対応

 拒絶理由通知への対応として、手続補正書を提出することがあります。補正書とは、出願後に出願内容を補正し、拒絶理由の解消を図るものです。

 例えば、出願商標の指定商品が複数ある場合に、その一部について、先に登録されている類似の商標と、指定商品が重なっているという場合です。このときに、重なっている指定商品を、出願時の指定商品から削除する補正をし、拒絶理由の解消を目指すというケースがあります。

 ただし、補正には一定の制限があります。具体的には、補正はその要旨を変更するものであってはならない、というものです。

 例えば、指定商品の範囲の変更・拡大は要旨の変更になると考えられる一方が、指定商品の範囲の減縮・適正区分への補正は、要旨の変更にはならないと考えられます。また、出願商標そのものの補正は要旨変更に該当する場合がほとんどといえ、実質的には不可能とされる場合が多いと考えられます。

拒絶理由通知への対応3~分割出願による対応

 拒絶理由通知への対応として、分割出願を行うという方法もあります。

 例えば、出願時、指定商品について、薬剤と化粧品を選んだとします。ところが、薬剤について拒絶理由の通知があったとします。

 この場合、同じ商標について、指定商品を「薬剤」と「化粧品」に分割して出願するというものです。

 この場合、拒絶理由のない「化粧品」を指定商品とする商標は、早期に商標登録されることができます。他方で、「薬剤」については、意見書や補正書を特許庁に提出し、拒絶理由の解消を狙う、というのが分割出願です。分割出願のメリットは、分割後の出願も、もとの出願(親出願)と同じ日に出願されたものとみなされる、ということです。

拒絶査定に対する不服申立手段

特許庁から拒絶査定が来ました。不服は申し立てられますか。

 拒絶査定を受けたからといって、すぐにあきらめる必要はありません。不服申立制度については以下のものがあります。

拒絶査定不服審判

 出願について拒絶査定がなされた場合に、不服を申し立てることのできる審判です。拒絶査定の謄本の送達を受けた日から3か月以内に審判を請求します。

審決取消訴訟

 拒絶査定不服審判の結果、拒絶査定を維持する審決が出た場合に、この審決に不服のある人が、知的財産高等裁判所に対し、審決の取消を求めて訴えを提起できます。

拒絶査定不服審判の手続・内容

 拒絶査定の謄本の送達を受けた日から3か月以内に審判請求書を提出します。他方、審判請求を行わないときには、そのまま拒絶査定が確定することになります。

 拒絶査定不服審判の審理は、3人又は5人の審判官の合議体によって行われます。審理の結果として、拒絶理由が解消したと判断された場合には登録審決が出されます。他方、拒絶理由が解消せず登録できないと判断された場合には、拒絶審決が出されます。

審決取消訴訟の手続・内容

 拒絶査定を維持する審決に対し、不服を申し立てる訴訟です。この訴訟は、知的財産高等裁判所にのみ提起できます。また、訴えの提起は、審決の謄本の送達日から30日以内に限られます。

 

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