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1.5.1 出願時の商標使用の要否~解説商標法

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商標出願の時にその商標を使用している必要がありますか

 商標法3条1項柱書には、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。」とあるため、上のような疑問が生じるかもしれません。

 この点、結論的には、現実に使用している必要はなく、使用の「意思」があれば足ります。

 ただし、出願書類を見て、審査官が「使用意思がある」かどうかを判断するのは事実上困難であり、「使用意思」の有無については、通常は厳密に審査していません。

使用意思の確認が求められる場合

 上に書いたとおり、通常は商標の使用意思の確認が求められることはありませんが、以下の場合には、使用の意思を明らかにすることが求められることになります。

1つの商標に対して、1区分内に8以上の類似群に含まれる商品・役務を指定した場合

 1個の区分の内において8以上の類似群コード(商品・役務の類似範囲を定めるためのコード)にわたる商品・役務を指定している場合には、一般に1個の商標をそのような広い範囲にわたって使用することが少ないという経験則から、商標の使用又は使用の意思についての確認が求められます。

 すなわち、指定している類似群ごとに、指定商品・指定役務にかかわる業務を出願人が行っているか、行う予定があることを明らかにできるような証明書を提出することが必要となります。

第35類の小売役務に関する出願で、一定の場合

 主に以下のような場合であって、商標の使用意思があることに合理的な疑義がある場合には、商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための証拠の提出が必要になります。

  • 個人が、「総合小売等役務」に該当する役務を、指定役務として出願をした場合
  • 法人が総合小売等役務に該当する役務を指定してきた場合であって、職権で調査を行っても、出願人が総合小売等役務を行っているとは認められない場合
  • 類似の関係にない、複数の小売等役務を指定役務として指定した場合
  • 各区分における、役務の指定が相当広範な範囲に及ぶため、指定役務についての商標の使用・使用の意思に疑義がある場合

使用意思に疑義がある場合の特許庁の対応

 審査官が、出願した商標についての指定商品や指定役務について使用意思に疑義を持つ場合、出願人に拒絶理由通知を送付します。

 この場合、出願人は意見書として使用の事実や使用の意思を主張したり、使用・使用意思に関する証明書類などを提出する等で拒絶理由の解消に努めることができます。

 使用の意思に関しては、具体的には、以下のような内容の事実を主張し、また準備状況を示す書類(事業計画書)を提出します。事業計画書については、使用開始までの具体的な事業の準備状況・計画(商品やサービスの企画、店舗・事業所・工場の取得や建設等)を記載します。

  • 出願に係る商標を使用する意図
  • 指定商品の生産、譲渡(販売を含む)のいずれの事業を具体的に行うのか(指定役務の場合はその提供の計画)
  • 商標の使用の開始時期

 また使用に関する証明書類としては、以下のようなものを提出します。

  • 印刷物(新聞、雑誌、カタログ、パンフレット、ちらし等)
  • 店舗や店内の写真
  • 取引書類(伝票、納品書、請求書、レシート、領収書等)
  • 公的機関等(国・地方公共団体、在日外国大使館、商工会議所等)の証明書
  • 同業者、取引先等の証明書
  • ウェブサイト、インターネット等の記事

 

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