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1.3 キャッチフレーズと商標登録~商標登録の要件

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キャッチフレーズと商標登録

 商標とは、おおざっぱにいえば、その商品・サービスを見分ける印という意味であり、従来は、キャッチフレーズは原則として、登録を受けることができないと解されていました(ただし、後述のとおり新しい商標審査基準で基準が明確になり、若干容易になったとはいえます)。

 それは、キャッチフレーズが、商品・サービスの機能、特徴を簡潔に表現したものであり、見分ける印とはならないとされているからです。

例外的にキャッチフレーズが商標登録される場合

キャッチフレーズの登録の考え方と過去の例

 しかし、キャッチフレーズでも、その商品を見分ける印として機能すると判断されれば、登録を受けられる可能性もあります。つまり、そのキャッチフレーズが、目印として役立つような特別で独創的に表現され、これが普通に用いられているとはいえない場合です。

 もっとも、商標の場合、いわゆる記述的商標(商品やサービスの内容や品質など一定の状態を普通の方法で記述する商標)が、原則として商標登録を受けることができない、とされていることを考えると、キャッチフレーズの商標登録についてもハードルが低いわけではありませんが、検討の価値はあると考えられます。

 例えばこの点、以下の商標は、キャッチフレーズ的な商標の登録例といえるかもしれません。

  「元気ハツラツ」(商標第4882442号)
  「Inspire The Next」(商標第4574995号等)
  「The Power of Dreams」(商標第4599911号)
  「子供達に日々希望と感謝の祈りを」(商標第3332419号)
  「お口の恋人」(商標第2080086号)

 それで、あるキャッチフレーズが、商品又はサービスとの関係で単なる販促活動に用いられるためのフレーズにとどまらず、他社との区別が可能な識別力のある「印」として認識されるような独特の個性あるフレーズなら、商標登録による保護を考えてもよいかもしれません。

改定後の審査基準

 平成28年の審査基準改定により、以下のとおり判断基準が明確になりました。これによって、キャッチフレーズの商標登録が以前より比較的容易になったと考えられるかもしれません。

 具体的には、出願商標が、「商品・役務の宣伝広告」や「企業理念・経営方針」を普通に表示したものとして認識されるものではなく、商品やサービスを識別する標識(しるし)となり得る要素があれば、キャッチフレーズの商標登録が認められるとされています。

 例えば「商品・役務の宣伝広告」との関係でいえば、商標が、出願人の商品・役務の説明、特性、品質を直接的かつ具体的に表すものである場合には、宣伝広告としてのみ認識される要因となります。他方、商品・役務との関係で、その具体的な意味合いが認められない場合、宣伝広告のみとはいえず、商品を識別する標識、商標的要素が認められる要因になります。

 もっとも、上の「元気ハツラツ」「お口の恋人」でも分かるように、商品の特性や品質を間接的に表すようなものは、商品やサービスを識別する標識(しるし)となる場合がありますから、このあたりのさじ加減が問われるかもしれません。
 

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