システム開発契約における瑕疵担保責任・保証規定

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 本ページでは、システム開発契約における主要な条項の一つである「瑕疵担保責任・保証」についてご説明します。

 なお、システム開発契約の主要条項の一覧はこちらをご覧ください。

「瑕疵担保責任・保証」に関する規定例

 
 以下は「瑕疵担保責任・保証」に関する比較的シンプルな条項の例です。

第*条(瑕疵担保責任)
1 本成果物の検査完了日から6か月以内に、検査の時点では判明できなかった本成果物の瑕疵が発見された場合には、乙は、自らの費用と責任において修正するものとする。修正が不可能又は著しく困難な場合、乙は、甲に対し、当該違反に応じた委託代金の減額をなすものとする。
2 前項の瑕疵は、本成果物が、甲乙が別途定める仕様書に適合することに限るものとする。
3 本成果物に関する保証は本条第1項に定めるものをもってすべてとし、本成果物にかかる保証違反及び瑕疵に関する乙の責任は本条に定めるものに限るものとする。

契約規定のポイント

ポイント1~瑕疵の内容

瑕疵の内容の明確化の必要性

 まず、瑕疵担保責任における「瑕疵」の内容を明確にすることは重要です。

 「瑕疵」とは、きずや欠陥といった意味の法律用語です。言い換えれば、一般的には通常備わっているべき、機能・性能・品質・状態が備わっていないことをいいます。

 この点で、システム開発の成果物における瑕疵については、特にベンダー(受注者)側としては、できる限り明確化・限定することが重要となります。この点が不明確だと、仕様どおりに開発しても、ユーザー(発注者)の意図や好みに合わないという理由での成果物の修正を求められるなどの不都合が生じることにつながりかねないからです。

 上のサンプルでは、仕様書適合性についてのみ保証を明示した上で、3項で、保証違反に関する責任は同条に定めるものに限定するという、比較的ベンダー側(受注者)寄りの規定となっています。

仕様を明確にする

 この場合、ユーザ(発注者)側もベンダ(受注者)側も、曖昧な仕様書は紛争の種になることになりますので、仕様書において必要十分な要求を明示しておくことは、特に重要となってきます。

 例えば、保証に関連して、以下のような内容について仕様書で明示することが重要といえます。

  • システムの規模(接続端末数、同時利用者数、トランザクション量、データ量)
  • システムの稼働環境(ハードウェア構成、ソフトウェア構成、ネットワーク構成)
  • システムの機能の詳細
  • システムの中立性・特定の技術や環境への依存性
  • システムの性能の詳細(速度、処理量)
  • 画面の一覧と遷移
  • システムの信頼性、安全性(システム停止時間・頻度、障害からの復旧手順、データ消失対策、バックアップ方法等)
  • セキュリティ上の対策(機密性、 可用性及び完全性、権限管理、アクセス制御、データ暗号化)
  • データに関する要件
  • 処理連携・データの授受を行う他のシステムとの間でやりとりするデータ、インターフェイス、連携方式、データ量・頻度、タイミング、制約条件等
  • システムの運用時間・監視に関する要件
  • テスト実施要件

ポイント2~保証の始期と保証期間

保証の始期と保証期間の明確化

 保証の期間(瑕疵担保責任の期間)と始期を定める必要があります。上の例では、「検収完了」時を始期とし、そこから6か月としています。この点、始期については納入時という選択肢もありえます。

 また、保証期間については、システムの規模、性質等を考慮してケースバイケースにより、当事者間で定めることとなります。

改正民法との関係

 2020年4月1日から施行される改正民法では、瑕疵担保(改正法では「契約不適合」)責任の追及ができる期間が、原則、契約不適合(瑕疵)を「知った時」から1年以内という形に変わります(改正民法637条1項[カーソルを載せて条文表示])。

 もちろん、改正民法の前記規定は、「任意規定」といい、契約でこれを変更することができます。したがって、改正民法施行後は特に、ベンダー(受注者)側は、契約において、瑕疵担保責任(契約不適合責任)の始期と期間を明確にする必要性は強くなるといえます。

 つまり、改正後であっても、瑕疵担保責任の始期を「ユーザーが知ったとき」ではなく、「納品時」や「検収時」とすることは可能ですし、今までと同様、これらの始期から6ヶ月や1年という定め方はできるわけです。

ポイント3~保証違反・瑕疵の場合の対応

 保証違反(瑕疵担保責任)が生じた場合の対応を明示します。通常は、瑕疵の修補(修正)、代品の納入、代金減額、損害賠償などのうち全部又は一部を定めます。

 上のサンプルでは、比較的ベンダー側(受注者)寄りの規定として、基本的には修正の義務のみとし、修正が不可能又は著しく困難な場合、違反に応じた委託代金の減額をなすという規定としています。

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