他者ソフトウェア・オープンソース等の利用
前のページ 著作権・権利の帰属・取扱 ┃ 次のページ 知的財産権紛争処理
本ページでは、システム開発契約における条項の一つである「他者ソフトウェア・オープンソース等の利用」の規定についてご説明します。
なお、システム開発契約の主要条項の一覧はこちらをご覧ください。
「他者ソフトウェア・オープンソース等の利用」に関する規定例
以下は「他者ソフトウェア・オープンソース等の利用」に関する比較的シンプルな条項の例です。
第*条(第三者のソフトウェアの利用) |
契約規定のポイント
ポイント1~第三者のソフトウェアを使用する場合の取扱
受託開発において、第三者のソフトウェアを使用する必要が生じるかもしれません。あるいは開発期間を短縮することができるという判断から、これらのソフトウェアを使用したいと考える場合もあると思います。
しかし、受託者側が正当な権利を得ずに第三者のソフトウェアを使用し、後に権利侵害の問題が生じるという事態は委託者側にとっては避けたいとことです。それで、1項では、第三者のソフトウェアの使用について、受託者側に、権限の取得と維持の義務を課す規定を設けています。
もっとも、1項の場合も、2項のオープンソースの場合と同様、受託者側に事前に申請をしてもらい、承認を必要とする、という規定の仕方もあります。
ポイント2~オープンソースソフトウェアを使用する場合
受託開発において使用する第三者のソフトウェアがオープンソースソフトウェアである場合もあります。この場合、通常は使用権限の問題は生じませんが、別の厄介な問題が生じることはあります。
特に、使用するオープンソースが準拠するライセンス条件が、伝搬性の強いもの(GPLなど)の場合、GPLソフトウェアをその一部に使用したソフトウェアについては、当該GPLソフトウェアの派生物として、GPLが適用されることになると考えられています。したがって、委託開発したプログラムの一部のモジュールが自社の意図に反してソースの公開を余儀なくされるといった事態が生じないとも限りません。
また、多くのオープンソースソフトウェアは、使用条件として、現状有姿(”AS IS”)で瑕疵担保責任を負わないという点が含められることが多いため、委託開発したソフトウェアにつき、瑕疵担保責任の追求が制限される事態も生じえます。
そこで、上のサンプルでは、2項として、オープンソースを使用する場合には事前承認を要するという規定としています。
なお、オープンソースソフトウェアの概要についての説明は、https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/it/index/oss_outline/ をご覧ください。
前のページ 著作権・権利の帰属・取扱 ┃ 次のページ 知的財産権紛争処理
弊所と法律相談等のご案内
弊所へのご相談・弊所の事務所情報等については以下をご覧ください。
- IT・ソフトウェア・システム開発関連問題に関する弊所の特色と取組み
- 解決事例 システム開発紛争・IT紛争
- ウェブ会議・オンライン法律相談(Skype・Zoom)のご案内
- 面談法律相談ご案内
- 事務所紹介
- 顧問弁護士契約のご案内
- 弁護士紹介
契約法務 弁護士費用自動見積のご案内
弊所の弁護士費用のうち、以下のものについては、オンラインで自動的に費用の目安を知ることができます。どうぞご利用ください。
- 英文契約・和文契約のチェック・レビュー
- 英文契約・和文契約の翻訳(和訳、英訳)
メールマガジンご案内
弊所では、メールマガジン「ビジネスに直結する判例・法律・知的財産情報」を発行し、比較的最近の判例を通じ、ビジネスに直結する法律知識と実務上の指針を提供しております。 学術的で難解な判例の評論は極力避け、分かりやすさと実践性に主眼を置いています。経営者、企業の法務担当者、知財担当者、管理部署の社員が知っておくべき知的財産とビジネスに必要な法律知識を少しずつ吸収することができます。 主な分野として、知的財産(特許、商標、著作権、不正競争防止法等)、会社法、労働法、企業取引、金融法等を取り上げます。メルマガの購読は無料です。ぜひ、以下のフォームからご登録ください。
バックナンバーはこちらからご覧になれます。 https://www.ishioroshi.com/biz/mailmag/topic/ |
ご注意事項
本ページの内容は、執筆時点で有効な法令に基づいており、執筆後の法改正その他の事情の変化に対応していないことがありますので、くれぐれもご注意ください。