株主総会招集通知と委任状

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 本ページでは、株主総会招集についての諸論点をご説明します。なお、株主総会全体の流れは、株主総会の概要と流れをご覧ください。

株主総会招集通知の発送

招集通知発送期限

 招集通知を発する期間は、以下のように、会社の類型によって異なっています(会社法299条1項)。

公開会社

 公開会社においては、株主総会招集通知は、会社法では会日の2週間前までに通知をなすべきと定められています。

 なおここでいう公開会社とは、株式の全部について譲渡制限が付されていない会社をいい、上場会社と同義ではありません。

非公開会社・取締役会設置会社

 非公開会社・取締役会設置会社の場合の株主総会招集通知は、以下のとおりです。

  • 書面投票・電子投票を採用する会社  2周間前
  • 書面投票・電子投票を採用しない会社 1周間前
非公開会社・取締役会非設置会社

 非公開会社・取締役会非設置会社の場合の株主総会招集通知は、以下のとおりです。

  • 書面投票・電子投票を採用する会社  2周間前
  • 書面投票・電子投票を採用しない会社 1周間前 定款によりさらに短縮可能

招集通知から会日までの期間の考え方

 この点、会社法では、株主総会の招集通知について「発信主義」を取っています。つまり、これら2週間前や1週間前とは、「株主に到達した日」ではなく、「発信した日」でよい、ということです。

 また、これらの期間は、「発信日」と「会日」とを算入しません。つまり、「発信日」と「会日」の間に、2週間又は1週間という期間があることが必要です(大審院昭和10年7月15日判決)。それで、会日の2週間前に発信する必要がある場合で、株主総会が6月22日だとすると、6月7日かぞれ以前に招集通知を発送する必要があります。

招集通知の方法・様式

非公開会社で取締役会非設置会社の場合

 「非公開会社」で、かつ「取締役会非設置会社」の場合であって、書面投票・電子投票を採用しないのであれば、招集方法について書面という制限がなく、口頭、メールや電話での招集通知が可能です(会社法299条2項)。

 そして前述のとおり、株主総会の招集通知日は、定款で、1週間よりさらに短くできます。それで、定款で定めれば、2日前にラインで招集、という方法もできることになります。

上記以外の場合

 前述の場合以外、つまり、以下のいずれかの場合は、書面又は電磁的方法(メール等。ただし株主の同意が必要)で招集通知を発する必要があります。

  • 公開会社の場合
  • 取締役会設置会社の場合
  • 書面投票・電子投票を採用する場合

 書面による招集通知の場合には、用紙のサイズや形状等に関して法令上の制約はありません。それで、会社ごとに適切と思う様式を選ぶことができます。ただし、通常は定型郵便規格封筒で送付できるようなサイズとすることが常識的かと思います。

 また、招集通知には、総会開催場所を住所で特定するだけでなく、出席株主の便宜のために開催場所の案内図や交通機関の案内を載せることも重要と考えられます。

招集手続の省略

 以上のほか、招集通知を省略して株主総会を開くことができる場合があります。

 すなわち、株主全員の同意があるときで、かつ書面投票・電子投票を採用しない場合、招集の通知をせず、株主総会を開催することができます。つまり、招集手続の省略が可能になります。

株主総会招集通知への記載事項

記載事項の概要

 株主総会招集通知には、開催日時・場所・議題・提出議案を記載します。また、書面投票ができる旨を定めるときは所定の事項を記載し(詳しくは会社法施行規則63条)、必要書類を添付します。

 まずは株主総会招集通知の中身たる「議題」についてご説明し、次いで形式的事項についてご説明します。 

議題・議案

議題とは何か

 議題は、一般的には、株主が、招集通知を見て、総会で何が決議されるかが分かる程度に記載することが必要で、かつそれで足ります。

 例えば、「利益処分案承認の件」、「退任取締役に対する退職慰労金贈呈の件」等と記載します。これ以上に具体的に「利益処分として剰余金の配当が●●円」といった中身を記載する必要はありません。

議案の要領の記載を要する事項

 以上に対し、一部の重要な事項については、「議題」のほか、「議案の要領」を記載することが必要です。いいかえれば、単に何が決議されるかだけでなく、議案の中身(いかなる行為をするか、いかなる変更がなされるか)を具体的に記載する必要があります。

 議案の要領の記載が必要な事項のうち、主なものを挙げると、以下のとおりです(会社法施行規則63条7項)。

  • 役員等の選任
  • 役員等の報酬等
  • 会社法法第199条3項又は第200条第2項に規定する場合における募集株式を引き受ける者の募集
  • 会社法第238条第3項各号又は第239条第2項各号に掲げる場合における募集新株予約権を引き受ける者の募集
  • 事業譲渡等
  • 定款の変更
  • 合併
  • 吸収分割
  • 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
  • 新設分割
  • 株式交換
  • 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
  • 株式移転

形式的事項事項についての留意点

発信日付

 招集通知には発信日付を記載します。また発信日付は、株主提案権の行使期限を経過した日付とします。なお、株主提案権(議案提案権)は、原則として総会開催日の8週間前までに行います。

招集通知の宛名

 株主総会招集通知は、基準日における最終の株主名簿に記載された株主に宛てて発信します。招集通知の宛名には、個々の株主の氏名や会社名を記載する必要はありません。「株主各位」といった記載で足ります。

 なお、所在不明の株主や、議決権を行使できない株主に招集通知を発信する必要はありません(会社法196条、会社法299条)。

標題の記載

 招集通知の標題については、「第×回(期)定時株主総会招集ご通知」「臨時株主総会招集ご通知」という感じで、定時株主総会か臨時株主総会かが明確になるようにします。

 また、定時株主総会については、「第×回」「第×期」と明示し、どの期の定時株主総会なのかを表示します。

招集通知添付書類

計算書類・事業報告

概要

 取締役会設置会社では、定時株主総会の招集に際して、以下の書類を、招集通知に添付する必要があります(会社法437条)。

  • 計算書類
  • 事業報告(監査報告・会計監査報告を含む)
修正後の事項を株主に周知させる方法

 招集通知に添付する計算書類や事業報告の内容に関し、招集通知発送から定時総会の前日までの間に修正すべき事項が生じた場合、どうすべきでしょうか。この点、旧商法では特に手当がされていませんでしたが、会社法で手当がなされました。

 すなわち、会社法では、事業報告の内容の修正の可能性を踏まえ、招集通知と併せて、修正後の事項を株主に周知させる方法を通知することができるとされました(会社法施行規則133条6項、計算規則161条7項、162条7項)。

 それで、招集通知において、修正の場合の周知方法を記載しておけば、実際に修正の必要が生じた場合、再通知等の手間を要さず、例えば会社のウェブサイトで公表したり、公告に用いている日刊新聞紙や官報に掲載するといった方法で周知させることが可能となります。

株主総会参考書類・議決権行使書面

 また、株主総会において書面投票ができる場合は、原則として、招集通知において、株主総会参考書類及び議決権行使書面を添付する必要があります(会社法301条1項)。

 なお、一定の場合にはウェブ開示制度が利用できます。ウェブ開示制度とは、定款にその旨を定めることで、資料の一部の事項をウェブサイトに掲載し、そのウェブサイトのアドレスを株主に通知することをもって、当該事項が株主に提供されたものとみなすものです(会社法施行規則94条・133条3項、会社計算規則161条4項、162条4項)。

 なお、ウェブ開示制度の対象は、株主総会参考書類及び事業報告についてはそれらの中の一定事項であり、個別注記表及び連結計算書類については全部です。

委任状の取得と留意点

会社法上、委任状には一定の要件があります。この要件に反する場合、委任状が無効となってしまうこともありますので、以下のような点について十分留意が必要です。

委任状取得は総会ごとに必要

  原則として、委任状は総会毎に会社に提出されなければなりません(会社法310条2項)。つまり、1通の委任状で、複数の回数分の株主総会の委任状とすることはできません。

委任状の保存期間

 議決権の代理行使があった場合には、会社は、総会終結の日から3か月間、委任状を本店に備え置かなければならず、株主の閲覧・謄写に応じなければなりません(会社法310条6項)。



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