HOME >  取扱案件解説 >  会社法 取扱内容詳細 >  目次 ポイント解説 会社法・会社役員の法律 >  会社法上の監査機関の比較と監査等委員会設置会社

会社法上の監査機関の比較と監査等委員会設置会社

<ここから会社法・M&A関連のページを検索できます>

平成27年5月1日から施行された平成26年会社法改正により、新たな機関設計として「監査等委員会設置会社」の制度が導入されました。以下では、従前からあった「監査役会設置会社」、「委員会設置会社」(改正後の名称は「指名委員会等設置会社」)とともに、これら監査機関を比較し、次いで、監査等委員会設置会社についてご説明します。

会社法に定める監査機関の比較

 今回の改正法前の制度では、公開会社・大会社は監査役会を設置するか委員会設置会社(現指名委員会等設置会社)となるかを選択する必要がありました。しかし、委員会設置会社については負担感や「指名委員会及び報酬委員会を置くことへの抵抗感等」(法務省)からほとんど採用されてきませんでした。また、監査役会設置会社についても、「社外監査役に加えて社外取締役も選任することの重複感・負担感」が指摘されていました。

 そこで監査役会設置会社と委員会設置会社の、いわば中間的な機関設計として監査等委員会設置会社が新設され、選択肢が増えました。

 そしてこれら三者はそれぞれの特徴があります。具体的には、これら監査機関は以下のような相違があります。

監査役会設置会社(監査役会) 指名委員会等設置会社(監査委員会) 監査等委員会設置会社(監査等委員会)
機関構成 【監督】取締役会
【監査】監査役会
【業務執行】取締役
【監督・監査】取締役会
 (ここに以下を設置)
  指名委員会
  監査委員会
  報酬委員会
【業務執行】執行役
【監督・監査】取締役会
 (ここに以下を設置)
  監査等委員会
【業務執行】取締役
監査機関の構成 監査役会
 3人以上の監査役
 半数以上が社外監査役
 (法335条3項[条文]
監査委員会
 3人以上の取締役
 過半数が社外取締役
 (法400条3項[条文]
監査等委員会
 3人以上の取締役
 過半数が社外取締役
 (法331条6項[条文]
常勤者の要否 監査役会
 常勤者必要
 (法390条3項[条文]
監査委員会
 法律上必須ではない
監査等委員会
 法律上必須ではない
監査役の要否/可否 監査役必要 監査役設置不可(会社法327条4項[条文表示] 監査役設置不可(会社法327条4項[条文表示]
会計監査人の要否/可否 大会社の場合には必要(会社法328条[条文表示] 会計監査人必要(会社法327条5項[条文表示] 会計監査人必要(会社法327条5項[条文表示]

監査等委員会設置会社

 次に、監査等委員会設置会社についてご説明します。

監査等委員会設置会社の概要

 監査等委員会設置会社については、以下のとおり、図式的にいえば「監査役会設置会社」と「指名委員会等設置会社」との中間的形態ともいえるかもしれません。

監査役会設置会社   =「取締役会」+「監査役会」
監査等委員会設置会社 =「取締役会(監査等委員会設置)」
指名委員会等設置会社 =「取締役会(監査委員会+指名委員会+報酬委員会を設置)」

 そして、監査等委員会設置会社における監査等委員会の主たる職務は、取締役の職務執行の監査及び監査報告の作成(会社法399条の2第3項1号[条文表示])、取締役の選任等及び報酬等に関する意見陳述(会社法399条の2第3項3号[条文表示])となっています。

監査等委員会の構成人員

構成人員の要件

 先の表のとおり、監査等委員会の構成員は取締役である必要があり、過半数が社外取締役である必要があります(会社法331条6項[条文])。

 ただし、監査等委員は常勤である必要はありません。この点は、常勤者を必要とする監査役会とは異なります。

監査等委員の任期

 監査等委員である取締役の任期は2年であり、短縮不可となっています。他方 監査等委員会設置会社の取締役の任期は1年(定款または株主総会決議により短縮可)です(会社法332条1項、3項、4項[条文表示])。

監査等委員の選任

 監査等委員である取締役は、それ以外の取締役と区別して、株主総会の決議によって選任します(会社法329条1項、2項[条文表示])。

監査等委員の解任

 監査等委員である取締役の解任は、株主総会の特別決議が必要です(会社法309条2項7号[条文表示])。

監査等委員の報酬

 監査等委員である取締役の報酬は、それ以外の取締役と区別して、定款または株主総会の決議によって定めます(会社法361条1項、2項[条文表示])。

 また監査等委員である各取締役の報酬は、定款又は株主総会決議の範囲内で、監査等委員の協議により定めることとされており(会社法361条3項[条文表示])、代表取締役等が介入できない形となっています。

監査等委員会の職務・権限

 監査等委員会の職務・権限は以下のとおりです。

会社法399条の2に定める職務

 同条に定める 監査等委員会の職務は以下のとおりです。

  • 取締役の職務執行の監査及び監査報告の作成(会社法399条の2第3項1号[条文表示]
  • 会計監査人の選任・解任に関する株主総会提出議案の決定(会社法399条の2第3項2号[条文表示]
  • 取締役の選任等及び報酬等に関する意見陳述(会社法399条の2第3項3号[条文表示]
報告徴求・業務財産調査権

 監査等委員会が選定する監査等委員は、いつでも、取締役、その他の使用人に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、又は監査等委員会設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができます(会社法399条の3第1項[条文表示])。

 そして、この報告徴求・業務財産調査権は、監査等委員会が選定する監査等委員が行使することとされています。すなわちこの点は、独任制の監査役と異なり、会議体として組織的に監査を行うことが前提となっています。

監査等委員各自の職務・権限

 以上のほか、監査等委員各自についても、以下の職務や権限があります。

  • 取締役の不正行為等の取締役会への報告義務(会社法399条の4[条文表示]
  • 総会提出議案等の法令違反等の株主総会への報告義務(会社法399条の5[条文表示]
  • 取締役の法令違反行為等の差止請求権(会社法399条の6[条文表示]

M&A解説・会社法解説の目次に戻る



法律相談等のご案内


弊所へのご相談・弊所の事務所情報等については以下をご覧ください。



メールマガジンご案内

弊所では、メールマガジン「ビジネスに直結する判例・法律・知的財産情報」を発行し、比較的最近の判例を通じ、ビジネスに直結する法律知識と実務上の指針を提供しております。

学術的で難解な判例の評論は極力避け、分かりやすさと実践性に主眼を置いています。経営者、企業の法務担当者、知財担当者、管理部署の社員が知っておくべき知的財産とビジネスに必要な法律知識を少しずつ吸収することができます。 主な分野として、知的財産(特許、商標、著作権、不正競争防止法等)、会社法、労働法、企業取引、金融法等を取り上げます。メルマガの購読は無料です。ぜひ、以下のフォームからご登録ください。

登録メールアドレス   
<クイズ> 
 これは、コンピュータプログラムがこの入力フォームから機械的に送信することを防ぐための項目です。ご協力をお願いいたします。
 

バックナンバーはこちらからご覧になれます。 https://www.ishioroshi.com/biz/mailmag/topic/

ご注意事項

本ページの内容は、執筆時点で有効な法令に基づいており、執筆後の法改正その他の事情の変化に対応していないことがありますので、くれぐれもご注意ください。

 事務所案内
 弁護士紹介


メールマガジンご案内


メールマガジン登録
「ビジネスに直結する
判例・法律・知的財産情報」


登録メールアドレス  
<クイズ> 

上のクイズは、ロボットによる自動登録を避けるためです。


会社法 メニュー

Copyright(c) 2016 弁護士法人クラフトマン IT・技術・特許・商標に強い法律事務所(東京・横浜)  All Rights Reserved.

  オンライン法律相談

  面談相談申込

  顧問弁護士契約のご案内


  弁護士費用オンライン自動見積


   e-mail info@ishioroshi.com

  電話 050-5490-7836

メールマガジンご案内
ビジネスに直結する
判例・法律・知的財産情報


購読無料。経営者、企業の法務担当者、知財担当者、管理部署の社員が知っておくべき知的財産とビジネスに必要な法律知識を少しずつ吸収することができます。

バックナンバーはこちらから