株主総会の概要と流れ
総会開催の方法
株主総会開催の原則
株主総会については、一定の例外を除き、書面で行うことはできず、実際に開催しなければなりません。なお、出席できない人には株主総会の招集通知に委任状を添付し、委任状を提出し、出席に代えてもらうこともできます(会社法310条1項[条文表示])。
株主総会の決議の省略(書面決議)
書面決議ができる場合
他方、新会社法では、一定の場合に、上の原則を緩め、株主総会の決議を省略できるようになりました(会社法319条1項[条文表示])。
すなわち、株主総会における決議目的たる提案につき、株主の全員が書面又は電磁的記録(電子メール等)により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなすことができるようになりました(会社法319条1項[条文表示])。
この点、これまで、多くの中小会社では、株主総会を開く手間等から、実際に開かないのに開いたことにして議事録だけを作成するような運用が多くみられました。しかし、この規定によって、実態にあった、かつ株主の現実の意思を反映する方法による意思決定ができるようになりました。
議事録の作成は必要
ただし、書面決議の場合であっても、会社法施行規則72条4項1号[条文表示]所定の事項を記載した議事録を作成する必要がありますので、留意が必要です。つまり、株主全員の同意書だけでは、書面決議としては不十分ということになります。
株主総会開催の手順(アウトライン)
株主総会の招集から開催・決議までの手順について、そのアウトラインを簡単に見ていきます。なお、各段階の具体的なご説明は、リンク先をご覧ください。
(1)株主総会招集の決定詳細な解説はこちら
- 取締役会設置会社の場合、取締役会を開き、株主総会招集を決定します(会社法298条4項[条文表示])。取締役非設置会社の場合、取締役が招集できます。
- 議決によって、開催日時・場所・議題・提出議案・書類を決めます。詳しくは、ここをクリックしてください。
(2)株主への招集通知 詳細な解説はこちら
取締役会設置会社の場合など一定の場合、書面で招集の通知をします(会社法299条2項[条文表示])。
なお、株主総会招集通知については、こちらのページをご覧ください。
(3)総会の準備
- 想定問答集の作成:株主からの生じうる質問を想定し、適切な回答ができるよう予め準備し、想定問答集を作っておくことも場合によっては有益でしょう。各部署が予想される質問についての回答を作成し、総務部長がまとめる、といった手順がとれます。
- 会場の確保:会場は会社やホテルの会議室など、株主全員が入れる場所を確保します。
- 会場の場所は制限がありませんが、本店の所在地か多くの株主が出席しやすい場所がよいと思われます。
(4)議事進行
この点の解説は、こちらをご覧ください。
また、具体的なイメージを持るよう、株主総会の議事進行例(シナリオ)のページで、シナリオ形式で一括上程方式の株主総会議事進行例をご紹介します。あわせてご覧ください。
(5)議事録の作成と保存
この点は、こちらをご覧ください。
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