監査役会の概要と権限

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 本ページでは、改正法に定められた監査機関の一つである監査役会についてご説明します。なお、会社所定の他の監査機関との比較は、こちらをご覧ください。

監査役会と監査役会設置会社

監査役会とは

 監査役会とは、複数の監査役全員により組織され、監査報告の作成、常勤の監査役の選定・解職、監査の方針、業務及び財産の状況の調査方法、その他の監査役の職務の執行に関する事項を決定する会社の機関です。

監査役会設置会社

 公開会社である大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社(会社法2条6号))については、監査役会を置くか、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社とする必要があります(会社法328条1項[条文表示])。

 なおここでいう公開会社とは、上場企業を意味するものではありません。会社が発行する株式の一部又は全部について、譲渡制限がない株式会社をいいます(会社法2条5号)。

 他方、会社が監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社とすることを選択した場合、会社の業務執行に対する監査は、取締役会及びその中に設置された委員会があたることになります。そのため、監査役は設置されません(会社法327条4項[条文表示])。

監査役会の組織・権限

監査役会の組織

 監査役会においては、監査役3人以上で構成され(会社法335条3項)、すべての監査役が組織されます(会社法390条1項)。そして、そのうち半数以上は社外監査役でなければならないとされています(会社法335条3項)。

監査役会の権限・職務

 監査役会は、以下の職務を行います(会社法390条2項)。ただし、監査役は、「独任制」の機関とされ、以下のうち(2)の決定があっても、各監査役の権限の行使が妨げられるものではありません(会社法390条2項ただし書)。

(1) 常勤監査役の選定及び解職

 監査役会は、監査役の中から常勤監査役を選定します(会社法390条3項)。常勤監査役とは、他に常勤の業務がなく、原則として、会社の営業時間中は監査役としての職務に専念する者を意味するとされています。

(2) 監査の方針、監査役会設置会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定

 監査役会設置会社については、監査役会による監査の範囲を会計監査に限定することはできず(会社法389条1項)、監査の範囲は会社の業務全体に及びます。

(3) 監査報告の作成

 監査報告は、各監査役の報告に基づいて、監査役会が作成します(会社法施行規則130条)。また監査意見は、監査役会における審議等によって形成されます(会社法施行規則130条3項)。

 ただし、監査役は、監査役会の監査報告の内容と自己の監査報告の内容とが異なるときは、監査役会監査報告に、自己の監査役監査報告の内容を付記することができます(会社法施行規則130条2項)。

監査役会の運営

 まず、監査役会の招集については、各監査役が招集権を有しています(会社法391条)。監査役会においては、取締役会のように招集権者を定めることはできません。

 監査役が監査役会を招集する場合、監査役会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各監査役に対してその通知を発します(会社法392条1項)。ただし、監査役全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができます(会社法392条2項)。

 監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行います(会社法393条1項)。

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