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企業間取引と契約の基礎知識

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契約の成立に関する考え方

契約の成立の原則

 民法522条1項[カーソルを載せて条文表示]にあるとおり、契約については、一方当事者が締結の申入れをし、相手方が承諾した際に成立します。

 また、民法522条2項[カーソルを載せて条文表示]にあるとおり、特に法律で定めがない限り、契約の成立には特定の方式を要しません。そのため、契約書に押印する方法でも、メールのやりとりで合意する方法でも、また口約束によるものでも、契約の内容について合意があったと見られる事実があれば、契約は成立します(契約方式自由の原則)。

 以下、契約の成立に関するいくつかのトピックを取り上げたいと思います。

基本契約書と個別契約書

 基本契約書とは、企業間で継続的に行われる同種の取引に関して、共通の取引条件やルールを事前に定めておく契約書です。例えば、継続的に特定の種類の製品を売買するとか、システム開発のプロジェクトの中で複数の業務を委託する場合など、毎回個別の契約書を作成する手間を省き、効率的に取引を進めることができます。

 そして、基本契約のもとで個別契約を締結する方法は、様々あります。以下が代表的な締結方法です。

双方が押印又は電子署名する書面を作成する方法

 個別契約書を作成し、両当事者が押印又は電子署名をする方法です。この書面を見ただけで契約の成立が分かるという意味ではメリットがありますが、手間がかかります。

注文書・発注書方式

 発注者が注文書をFAXやメールによって受注者に送信し、受注者が注文書請書を同様の方法で発注者に送信することで個別契約の成立とする方法です。

 もっとも、基本契約の定め方によっては受注者が最初に見積書を発注者に送信し、注文書の発行をもって個別契約が成立するとするケースもあります。また、注文書の送信後一定期間内に受注者から異議がなければ個別契約の成立とみなすという方法もあります。

 こうした方法は実務上馴染みやすいと言われています。

オンラインフォーム等による発注

 発注者がオンライフォームから注文をし、受注者にて受注の可否をシステムにて判断して受注の可否をメール等で通知する方法もあります。



契約書に定めがない場合の法律の取扱(申込と承諾)

 民法と商法は、契約の申込、撤回、承諾の成立について詳細な規定を置いています。以下、「隔地者間」(つまり書面やメール等のやりとりをする関係にある者)についての規定のアウトラインを見ていきます。

承諾の期間の定めがある申込
申込の撤回の可否

 承諾の期間を定めて契約の申込をした場合、申込の撤回はできません。ただし、撤回権を留保したときを除きます(民法523条1項[カーソルを載せて条文表示])。

承諾がない場合の扱い

 申込者が承諾の期間内に承諾の通知を受けなかった場合には、申込は失効します(民法523条2項[カーソルを載せて条文表示])。

承諾の期間の定めがない申込

 この場合、企業間取引においては、商法の規定に従います。

商法における原則

 承諾の期間の定めがない申込に対して、申込を受けた者が相当の期間内に承諾の承諾の通知を発しなかった場合には、申込は失効します(商法508条1項[カーソルを載せて条文表示])。

 この「相当の期間」がどの程度かについては一律に決めることはできません。取引の目的物,従来の取引の態様・慣行などによって判断すると考えられています。

平常取引をする企業間の特則

 企業が、平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合には別の規定があります。この場合、企業は、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発する必要があります(商法509条1項[カーソルを載せて条文表示])。

 そして、当該諾否の通知を遅滞なく発しなかったときは承諾があったものとみなされます(商法509条2項[カーソルを載せて条文表示])。

 なお、「その営業の部類に属する契約」とは、当該企業の基本的商行為に属する契約に限られると一般には考えられています。例えば、金物商である商人に対する借地権を放棄せよとの申込みが、営業の部類に属するものとは認められないとした判例があります(最高裁昭和28年10月9日判決)。

契約の効力に関する種々の疑問

会社の代表取締役以外の役員や従業員

 会社が契約を締結する場合、押印欄には、「会社名 代表取締役 ●●●● 印」という記載がされ、代表者印が押印されることが多いと思います。

 他方、「代表取締役 ●●●●」の代わりに、「執行役員 ××××」とか「●●事業部長 ▲▲▲▲」といった名前が登場することもあります。このような場合には契約書は有効となるのでしょうか。

 結論からいえば、代表取締役以外の人が締結者になったとしても、それだけで無効になることは、通常はありません。それは、代表取締役以外の役員であっても、あるいは社員であっても、会社から契約締結の権限を与えられていればよいからです。

 実際、大企業では代表取締役のみならず、事業部長クラスの人が契約において代表者として押印することは珍しくありません。

契約書と印鑑の種類

 多くの法人は、代表者印・角印・銀行印といったふうに複数の印鑑を使い分けています。

 では、契約書に押捺する印鑑の種類で契約書の効力は左右されるかというとそのようなことはありません。法律上は、会社が実際に使っている印鑑であり、会社がその意思で「契約書に使ってもよい」と判断したものなら種類を問いません。

 
 


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