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企業が行う寄託に関する法律

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企業による「寄託」の概要

企業による「寄託」とは

 企業(商人)が自己の営業の範囲内で他人の物を保管することを引き受ける契約を「寄託」といい、商事寄託とも呼ばれています。

 商事寄託は、商取引の円滑化に重要な役割を果たします。例えば、倉庫業のように寄託の引受を主たる営業とする場合はもちろん、委託販売品の保管、ホテルによる宿泊客の荷物の預かり、金融機関による貴重品の保管等は、商事寄託たる行為であるといえます。

商事寄託に関する法律

 商事寄託については、民法が適用されるほか、商法にある商事寄託に関する特則が適用されます。そして、商法の当該特則が民法の規定に優先します。

 なお、寄託に関する民法や商法の規定の多くは、当事者間の契約によって変更することができます。

商事寄託のポイント

 以下、商事寄託における法律のポイントを見ていきます。

善管注意義務

 企業(商人)が営業の範囲内で寄託を受けた場合、善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負います(商法595条[カーソルを載せて条文表示])。これは、企業でない人が無償で寄託を受ける場合の民法上の義務(自己の財産におけると同一の注意義務)よりも重い責任です。

 そして、企業の当該義務は、寄託が有償であるか無償であるかを問いません。その趣旨は商人の信用を高め、取引の安全を図る点にあるとされています。

場屋営業者の責任

場屋営業者とは

 場屋営業とは、客の来集を目的とする場所での営業をいい、ホテルや旅館、飲食店、浴場、劇場、パチンコ店、ゴルフ場等のスポーツ関連施設利用営業が含まれると考えられています。

場屋営業者の責任

 商法は、場屋営業者の責任についての規定を定めています。具体的には以下のとおりです。

  • 寄託を受けた物品に関する責任(商法第596条1項)
  • 寄託を受けていない物品に関する責任(商法第596条2項)
  • 場屋営業者の責任についての免責の制限(商法第596条3項)
  • 高価品に関する特則(商法第597条)
  • 短期消滅時効(商法第598条)

倉庫営業者の責任

倉庫営業者に適用される規定

 商法の寄託に関する規定のうち、599条から617条までは倉庫営業に関する特則が定められています。

 またさらに、他人の荷物の寄託を受けることを業務として行うことができるのは、倉庫業法に基づいて倉庫業の登録を受ける必要があります(倉庫業法3条)。そして、倉庫業法に定める規制に従う必要があります。

商法に定める倉庫営業者の責任とその修正

 商法商法610条[カーソルを載せて条文表示]は、倉庫営業者の責任について定めています。

 同規定では、寄託物の滅失又は毀損について、無過失であることを倉庫営業者が立証しない限り倉庫営業者が責任を負うことになり、倉庫営業者に重い責任があることを規定しています。

 もっとも、商法610条は任意規定であり、原則として、特約によって倉庫営業者の責任を免除又は軽減することができます。実際、国交省が定めた「標準倉庫寄託約款(甲)」の38条では、倉庫営業者が責任を負う場合の要件を「故意または重過失」と厳しくした上、さらに、当該故意重過失の立証責任を寄託者側に負わせる内容にしています。

倉庫営業者の責任に関する短期消滅時効

 寄託物の一部の滅失又は損傷についての倉庫営業者の責任に関する債権は、寄託物の出庫の日から1年間行使しないときは時効によって消滅します(商617条1項[カーソルを載せて条文表示])。

 また、寄託物の全部滅失の場合は、倉庫営業者が寄託者等に対してその旨の通知を発した日から1年間です(同条2項[カーソルを載せて条文表示])。

 ただし、倉庫営業者が寄託物の滅失又は損傷につき「悪意」であった場合には当該短期消滅時効の規定は適用されません(商617条3項[カーソルを載せて条文表示])。ただしこの「悪意」は、倉庫営業者の単なる認識ではなく、倉庫営業者が故意に受寄物を滅失・損傷せしめたとか、寄託物の滅失・損傷を隠蔽した場合のように、倉庫営業者に責任の短期消滅の利益を与えるのが不適当と評価される行為がある場合に限るべきであるとされています(青竹正一著『法律学講座 商法総則・商行為法(第3版)』484頁)。

 
 


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