取締役の競業避止義務

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2 取締役の義務 [2]競業避止義務

取締役の競業避止義務とは何か

 会社法356条1項は、「取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。」と規定し、取締役が会社と競業するような取引を行なう場合を挙げています(会社法356条1項1号)。

 つまり、取締役は、取締役会が設置された会社では取締役会の承認を得なければ(会社法365条1項の規程により、同法356条の「株主総会」は「取締役会」と読み替えることになります)、又は、取締役会が設置されていない会社では株主総会の承認を得なければ、会社と競業するような取引を行えないということになります。これを「競業避止義務」といいます。

 このような競業避止義務が課される理由は、取締役が、会社の業務執行に関して大きな権限を有し、企業機密にも通じていることから、その地位を利用すれば会社を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ることができるため、このような行為を防ぐという点にあります。

競業にあたる場合

 では、どんな業務が「競業」と考えられるでしょうか。この点については、一般的に、現在又は将来にわたって、市場での取引が競合する可能性があるか否かによるとされています。そしてこの競合の可能性については、取引対象、取引態様、営業地域など様々な観点から総合的に検討します。

 それで、ある会社が、現在は現実に営業していなくても、将来ある特定の事業をする計画があれば、取締役が現在その事業を自ら行うことは、競業とされる可能性が高いと考えられます。他方、同様の商品・取引態様が同じでも、両者の営業地域が全く異なる場合などは、両者が市場において競合すると判断される可能性は低いといえます。

承認を受ける内容・方法

 先に述べたとおり、取締役が行う営業が「競業」に該当する場合、株主総会(取締役会非設置会社の場合)又は取締役会の承認が必要となります。この場合、当該取締役は、承認を求めるにあたっては、取引先・目的物・数量・価格・取引の期間など取引に関する重要事実を開示する必要があります。

競業避止義務に違反する行為の効果

 競業避止義務に違反して取締役が取引を行った場合、その取引自体は原則として無効とはされません。

 他方で、取締役は、会社に対しては損害賠償義務を負うことになります。この場合には、取締役又は第三者が競業によって得た利益が会社の損害であると推定されるという規定がありますので、会社にとっては困難な場合が多い競業行為による損害の立証の負担が軽減されています。



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