所有権の移転・危険負担
前のページ 成果物の納品・検査 ┃ 次のページ 瑕疵担保責任
本ページでは、システム開発契約における主要な条項の一つである「成果物の所有権の移転・危険負担」についてご説明します。
なお、システム開発契約の主要条項の一覧はこちらをご覧ください。
「成果物の所有権の移転・危険負担」に関する規定例
以下は「成果物の所有権の移転・危険負担」に関する比較的シンプルな条項の例です。
第*条(成果物の所有権・危険負担) |
契約規定のポイント
ポイント1~所有権移転時期の明示
まず、成果物の所有権の移転時期を明示することは発注者(ユーザ)側にとっても、受注者(ベンダ)側にとっても重要です。
上のサンプルでは、委託料支払の確実性を少しでも高めるという意味でベンダー(受注者)側寄りの「委託料支払時期」を移転時期としていますが、これは一つの例です。
そのほか、成果物の所有権の移転時期として、納入時、検収時などと定める方法もあります。
ポイント2~「危険負担」の移転明示
まず、「危険負担」という言葉自体、法律に馴染みのない方であれば初耳かもしれません。
これは、民法に定められた概念であり、取引対象物が、いずれの当事者にも責任がないのに滅失してしまった場合(例えば天災による滅失)、対価(取引対象物の代金)の請求権が消滅するのか、あるいは存続するのかを規定するものです。
そして、「危険」が移転する前は、対価の請求権は消滅する一方、「危険」が移転した後は、対価の請求権は消滅します。
この点上の条項例では、「乙が甲に納入した本成果物の危険は、本成果物の納入の時点で甲に移転する」と定めています。
そうすると、この場合、ベンダーが成果物を納入する前に、成果物が滅失してしまった場合、「危険」が移転する前であるため、対価の請求権も消滅します。
他方、ベンダーが成果物を納入した後に成果物が滅失しても、発注者(ユーザ)は対価支払義務を負うということになります。
前のページ 成果物の納品・検査 ┃ 次のページ 瑕疵担保責任
弊所と法律相談等のご案内
弊所へのご相談・弊所の事務所情報等については以下をご覧ください。
- IT・ソフトウェア・システム開発関連問題に関する弊所の特色と取組み
- 解決事例 システム開発紛争・IT紛争
- ウェブ会議・オンライン法律相談(Skype・Zoom)のご案内
- 面談法律相談ご案内
- 事務所紹介
- 顧問弁護士契約のご案内
- 弁護士紹介
契約法務 弁護士費用自動見積のご案内
弊所の弁護士費用のうち、以下のものについては、オンラインで自動的に費用の目安を知ることができます。どうぞご利用ください。
- 英文契約・和文契約のチェック・レビュー
- 英文契約・和文契約の翻訳(和訳、英訳)
メールマガジンご案内
弊所では、メールマガジン「ビジネスに直結する判例・法律・知的財産情報」を発行し、比較的最近の判例を通じ、ビジネスに直結する法律知識と実務上の指針を提供しております。 学術的で難解な判例の評論は極力避け、分かりやすさと実践性に主眼を置いています。経営者、企業の法務担当者、知財担当者、管理部署の社員が知っておくべき知的財産とビジネスに必要な法律知識を少しずつ吸収することができます。 主な分野として、知的財産(特許、商標、著作権、不正競争防止法等)、会社法、労働法、企業取引、金融法等を取り上げます。メルマガの購読は無料です。ぜひ、以下のフォームからご登録ください。
バックナンバーはこちらからご覧になれます。 https://www.ishioroshi.com/biz/mailmag/topic/ |
ご注意事項
本ページの内容は、執筆時点で有効な法令に基づいており、執筆後の法改正その他の事情の変化に対応していないことがありますので、くれぐれもご注意ください。